戦略プランはどんなに精度を高めたとしても、
しょせんは初期仮説にすぎない

 しかしながら、そもそもすべての戦略プランは前述のごとく、どんなに精度を高めたとしても、しょせんは初期仮説にすぎません。

「戦略」に論理性が求められるのは、その後の方向修正の際に、
「どこに読み間違いがあったのか」
「想定していなかったことは何だったのか」

 などを、常に策定した「戦略」に戻って修正し、手元にある「戦略」の精度を高めるためです。

 策定した「戦略」は、いわば船出前の海図であり、立案した「戦略」を有効活用するこの方法論においては、事業責任者が責任を持って舵取りを行うことが前提になるのです。

 日本企業の場合、確かにトップは優秀な方が多いのですが、創業者以外はいったんトップの座に就くとほとんどの方が「神輿(みこし)」の上に乗ってしまいます。

 そしてこの手の改革ごとについても、自身が自ら細かく進捗の実態を確認しながら改革の実践を進めることはあまりなく、よほど実務に精通し、組織に影響力のある参謀役がトップの代行として機能していなければ、残念ながら米国式の方法論が有効に機能することはありません。