何を置いても、まずは
NOI(実質収益)を計算する

 前回のWhat's Your Rent 分析でも行ってもらった通り、実際に手に入る家賃からの不動産収益を想定することがスタートラインだ。

 これをNet Operating Income(実質収益)という。つまり入ってくるだろう家賃収入から、不動産管理に関わる経費や固定資産税を差し引いた不動産所得、真水の取り分だ。以下のような収益物件のNOI(実質収益)を計算してみよう。

 満室時家賃収入(GPI:Gross Potential Income)に空室率を加味して実効収入(EI:Effective Income)を出す。

 もちろん、不動産賃貸業を営むうえでは経費がかかる。日々の賃貸付けのための不動産仲介手数料や管理料(PM費用:Property Management Fee)、そして建物の管理メンテナンスや清掃費用(BM費用:Building Management Fee)などだ。

 共用部の水道光熱費も大家持ちだ(Utility Cost最初の図表では「U」)

 さらに建物を持っているだけで必要な経費もある。火災地震保険(Insurance:最初の図表では「I」)には必ず加入しなくてはいけないし、もちろん固定資産税と都市計画税(RE Tax:Real Estate Tax)も毎年払わなくてはならない。これらをまとめて、賃貸運営経費(OPEX:Operating Expense)という。

 この経費を引いて初めて、純粋な実質収益(NOI:Net Operating Income)が判明する。高いNOI(実質収益)をいかに確保できるか?

 これこそが十分な不労所得の確保につながるし、後に示すように不動産評価額を上げることにつながる。まさに大きく資産を伸ばすための最初の一歩となる。

 こういった不動産の収益を示す指標は、世界共通で伝わる普遍的な言語なので、ぜひ英語でも覚えてほしい。

 それにアルファベットのほうが走り書きしやすい。右のイラストのような物件を想定してステップ・バイ・ステップでBOE分析を計算をしてみよう。

上田真路(うえた・まさみち)
建築家・不動産投資家
KUROFUNE Design Holdings Inc. 代表取締役CEO
ハーバード大学デザイン大学院で不動産投資と建築デザインを学び、投資理論とデザインの力を融合させたユニークな不動産投資を行う。
鹿島建設入社4年目に不動産投資を開始。数々の不動産投資セミナーに足を運び、不動産関連書籍を数十冊読破。そんな中で出会ったメガ大家集団をメンターに持ち、指導を仰ぎながら不動産投資をスタートする。最初に行った東京・神楽坂での新築マンション開発では超狭小地に苦労し、辛酸を舐めつつも独自の不動産投資スタイルを確立する。現在5棟の超優良物件を保有。保有物件の中では投資額が4年間のうちに26倍になったものもある。
1982年高知県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院卒業後に鹿島建設入社。
大学院卒業時にリゾートホテル開発プロジェクトにより早稲田大学小野梓芸術賞を受賞。
同社では国内外で建築設計や大規模な都市開発業務に従事。鹿島建設社長賞、グッドデザイン賞、SDレビュー賞などを受賞。2016年、ハーバード大学デザイン大学院(GSD)へフルブライト留学。2018年、GSD不動産デザイン学科を卒業、外資系不動産ファンドでの投資業務を経験した後、KUROFUNE Design Holdings Inc.(デザイン事務所兼不動産ファンド会社)を創業し独立。現在はハーバード学生寮生活で得た原体験をもとに、住まいと学びを融合させた国際学生寮「U Share」を開発運営する。また、慶應義塾大学SFC特任講師、早稲田大学特任講師として「不動産デザイン」について教えている。