③ どういう展開で話が進んでいるのかわかるようにする

──3つ目の「どういう展開で話が進んでいるのかわかるようにする」というのは、どういうことでしょう?

今道:上手なプレゼンをする人が、「要点は3つあります」とか「これから2つの理由をご説明します」というような言い方をしますよね。あれです。

 今回の例文で言えば、「公務員が求めらているのは、日々誠実に仕事することです」とストレートに結論を述べた後、「私が考える誠実な仕事とは、次の2つの要素があります」と書けば、話の展開が追いやすくなります。

 その上で、1つ目が「仕事で責任を果たす」ということで、2つ目は「コンプライアンス違反をしない」です、という感じで書き進めると、読む人が文章の展開を見失うことがなくなります。

──なるほど。「読み手にストレスを感じさせないようにする」ということが大事だと。

今道:おっしゃる通りです。話の構成をすっきりさせれば、読む人にとって格段にわかりやすい文章になります。「話し方」にも同じことが言えるのですが、文章の場合は文字情報だけなので、この3つのポイントを押さえていないと、より、頭に入りにくくなります。

小論文に「特別な文章のセンス」は求められていない

──3つのポイントに共通していることがあるとすれば、何を意識しておくべきでしょうか。

今道:つまりは、「読む人のことを本気で考えること」だと思います。

 わたしは普段、小論文に限らず、就活のエントリーシートや、助成金などを申請するための書類作成の指導を頼まれることも多いのですが、すべて基本は同じです。

「文章のわかりやすさ」を決める3大要素『落とされない小論文』は、受験生がやりがちで、かつダメージの大きいミスを順に克服していく構成になっている。

 どうしたら、読む人にとってわかりやすく、伝わるか。

 美しい日本語とか、特別な文章のセンスとか、そういうことが必要なのではありません。読む人にとって、「どういう順番で話せば、一番わかりやすいか」「どんなふうに具体化すれば、より伝わるのか」。そういうことを、きちんと考えて書く。

 まず何より、それが大事です。

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第1回 この小論文対策本だけ、なぜ異例の大ヒットなのか?

「文章のわかりやすさ」を決める3大要素