時間を「担保する」という発想

在宅勤務での大きな問題は、「ワーク・セルフ・リレーション」の境目がぐちゃぐちゃになることです。

まず、「ワーク」がオフィスから家に侵食してきました。

そして、そこでのリモート会議などが、家族との「リレーション」の空間に影響を与えました。

また、ネットにも常につながっている状態です。

先ほども述べたように、3つの時間はすべてが大事です。

それなのに、「同じ時間」に「同じ空間」で同居してしまうことが問題なのです。

すごくシンプルに言うと、「ワーク・セルフ・リレーション」をそれぞれ充実させるためには、お互いが不可侵な時間と空間を担保する必要があります。

つまり、「ここでは仕事しない」「この時間は自分のことだけをする」と決めて、それに「集中する」ということです。

1つ1つを濃密な時間にするためには、それぞれのよい点を際立たせるための「間」が必要なのです。

「ワーク・セルフ・リレーション」の間を、間抜けにならぬように、きれいに設計するためには、冒頭の高津さんの言葉のように、時間配分から考えることが重要だということです。

その上で、「空間」「仲間」との間の取り方を設計していくという流れで考えることが大事なのです。

簡単にまとめましょう。

・時間:時間ごとに、「ワーク・セルフ・リレーション」のどれを大事にするか、何をやるか、何をやらないかを決める
・空間:「ワーク・セルフ・リレーション」を区切るための空間を環境設計する
・仲間:人が動かない時代に、大事な仲間が誰で、どうつながるかを設計する

これを一度、1週間単位などで整理してみることです。

どこか1つに極端に偏っているとしたら、バランスをとれるように考えてみましょう。

井上一鷹(いのうえ・かずたか)
株式会社ジンズ執行役員 事業戦略本部エグゼクティブディレクター 兼 株式会社Think Lab取締役
NewsPicksプロピッカー(キャリア)
大学卒業後、戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトルにて大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事後、ジンズに入社。商品企画部、JINS MEME事業部、Think Labプロジェクト兼任。算数オリンピックではアジア4位になったこともある。
著書『深い集中を取り戻せ』(ダイヤモンド社)が好評発売中。