たった1カ月で200時間削減!
「超ブラック」から「超ホワイト」への施策
私はかつて、社員に残業を容認した“犯罪者”でした。
今は違うと胸を張って言えますが、過去の罪をつぐなうため、あらゆる策を講じて、残業を減らす取り組みを進めています。
2013年まで、わが社の残業時間は、社員ひとりあたり月平均「76時間」で、「月100時間」に近い残業をする社員が6人いました。
会社の残業が増えるのは(減らないのは)、社員のせいではありません。
社長の責任です。
社長が「うちは人手不足だから、残業はなくならない」「うちの業態だと、時間外労働は仕方がない」と決めつけるから、業務改善が進まない。
残業を減らすために社長が最初にすべきことは、「残業を減らす」という方針を決定することです。
そのことに気がついた私は、2015年度の経営計画発表会で、「今期は残業時間月45時間未満を目指す」と発表しました。
「平均76時間」あった残業時間を4割減の45時間未満にするのは、並大抵のことではありません。社員はもとより、発表した私でさえ、実現できるとは思っていませんでした。
社員の中には、「残業が多いのは嫌だけど、少ないのはもっと嫌だ」「残業減は会社にとって都合がいいだけで、社員にとっては迷惑だ」と考える社員もいました。
なぜなら、残業が減ると、残業手当や休日出勤手当が減るからです(→52ページ)。
そこで私は、「なぜ残業を減らさなければいけないのか」を社員に何度も説明し、そして、「残業が減っても、もらえるお金が減らない(あるいは増える)仕組み」をつくった。その結果、私の予想を大きく上回る成果が得られました。
驚いたことに、残業時間が「45時間」を下回って、「平均35時間」つまり半分以下にまで減ったのです。
家事代行サービス・訪問介護サービスを提供する「ホームインステッド事業部」では、由井英明本部長の下、前月対比で200時間の残業削減に成功しています(2016年6月と7月の比較/全8ステーションの合計)。
わずか1カ月で200時間の残業を削減できたのは、「今までとは違う考え方」と「今までとは違うやり方」で、業務改善に取り組んだ結果です。
【ホームインステッド事業部が取り組んだおもな施策】
●全従業員にタブレット端末を支給し、情報共有とフィールド(現場)での効率化を図る
●毎朝のミーティングで終了時間・退社時間を確認し、逆算して日常業務の対策を共有する。終了時間を決めることで、「その時間までには絶対に仕事を終わらせる」という意識が高くなり、集中力と緊張感を持って仕事ができる
●残業は申告制とし、上司の許可なく残業をしてはいけない。残業する理由を明記するようにすると、「仕事をしているフリ」がなくなる
●やらなくていいことを決める。その日に終わらせなくてもいい業務は、「翌日」に振り替えてもいい
●毎月「実行計画ミーティング」を設けて、「どうすれば残業を減らすことができるのか」を従業員で話し合い、業務改善に役立てる