日本の匿名掲示板として圧倒的な存在感を誇った「2ちゃんねる」や動画サイト「ニコニコ動画」などを手掛けてきて、いまも英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人などを続ける、ひろゆき氏。
10万部を突破したベストセラー『1%の努力』では、その部分を掘り下げ、いかに彼が今の立ち位置を築き上げてきたのかを明らかに語った。
「努力はしてこなかったが、僕は食いっぱぐれているわけではない。
つまり、『1%の努力』はしてきたわけだ」
「世の中、努力信仰で蔓延している。それを企業のトップが平気で口にする。
ムダな努力は、不幸な人を増やしかねないので、あまりよくない。
そんな思いから、この企画がはじまった」(本書内容より)
そう語るひろゆき氏。インターネットの恩恵を受け、ネットの世界にどっぷりと浸かってきた「ネット的な生き方」に迫る――
みんな「聞き分け」が良すぎる
自分本位で生きる「働かないアリ」になるためには、聞き分けがよすぎるとダメだ。
しかし、たいていの日本人は聞き分けがいい。
「肉屋を応援する豚」という言葉が、僕の最近のマイブームだ。
いつか自分が殺されてしまう状況の豚が、肉屋の営業を心配してしまい、最後には屠畜される話だ。
自分は関係ない話に聞こえるかもしれないが、この状況をそこかしこに見かける。
残業代を支払わない企業や、年金資金が足りない日本政府などがその例だ。
本来は「お金をくれ」と言うべき立場の人が、「まあ、みんな大変だよね」と聞き分けをよくして許してしまっている。
しかし、後になって苦労するのは自分たちだ。
「有利なポジション」をとれ
みんな給料を上げたがっている。でも、言えない。
そんな空気を察していると、やがて自分がやられる。
「聞き分けのいい豚になっていないか?」
それをちょっと考えてみてほしい。
世の中、実力がハッキリと数値化される仕事は、そんなに多くない。
たとえば、ファミレスの店員だとしよう。
働くのがだるいから手を抜いて働きたい。でも、クビにはなりたくない。
その場合の戦略は、他の店員たちと仲良くなって、「この人をクビにしたら私も別のとこに行きます」という派閥を作ることだ。
大して働いてないけど、まったく働いていないわけじゃない。だから、クビにするほどではない。
そんなポジションになるのだ。
試しに「お願い」をしてみればいい
ある有名な外国人タレントは、タクシーを値切ることをしていると言う。
「タクシーなんて値切れるの?」と疑いたくなるが、じつは値切れる。
1万5000円くらいの料金の距離では、「1万円札しかないんですが、それで行ってくれないか?」と交渉するらしい。
ホテルに泊まるときも、「1週間ほど泊まりたいんだけど、2割引きにしてもらえませんか?」と言うそうだ。
外国人ですら、そのような商売交渉をしているのだから、日本人にできないわけがない。これも「1%の努力」の好例だろう。
あるいは、あなたは交渉をしたり、お願いをしたりすることはできるだろうか。
「1日泊めてくれない?」
そう頼める友人が7人もいれば、1週間も宿代ゼロで暮らせる。そのときに「お返し」を考えて、お土産を持っていかないといけないと思っているとすれば、働かないアリになるにはほど遠いだろう。
僕くらいになると、友達の家に他の友達を呼び、「飲み会をやろう」と言って、食べ物やお酒を持ってきてもらう。宿代だけでなく、飲食代もタダにしてしまう。
「そんなことできない」と言われるかもしれないが、ヒッチハイクと同じで、こんなものは「慣れ」だ。
一度やってみると、案外、何もせずにうまいこと生きられることが実感できるだろう。たくましく、しぶとく生きるコツでもある。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、10万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。