投資対象としてゴールド(金)を保有している人はあまり多くないだろう。しかし、「ゴールドが近い将来最も有力な投資先の1つになる」と提唱するのは、YouTube再生回数1億回を超える人気投資家の高橋ダン氏だ。著書『ゴールド投資──リスクを冒さずお金持ちになれる方法』では、ゴールドに投資する根拠から投資の実践方法まで余すことなく語った。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。
どんな経済ニュースが金価格に影響を及ぼすか
ここまではゴールドの長期投資について解説してきました。では次に、ゴールド投資の短期売買について具体的に考えてみましょう。
短期売買では主に金や貴金属のETFを売買します。
金の現物は購入時の手数料などがかかるため、売買回数が多くなる短期売買には不向きです。
その点、ETFはコストが安く、市場が開いているときであれば簡単に売買できるため、短期売買に向いているのです。
まずは買い、または売りのエントリーについて見てみましょう。
金や貴金属の投資商品は、各国の中央銀行の発表によって値動きすることが多いといえます。
特に影響を受けるのが「米ドルに関する発表」です。
金価格はマネーサプライ(マネーストック)と相関性が高いため、金融緩和によって米ドルの供給量が増えると値上がりやすくなりますし、金融引き締めで米ドルの供給量が減ると値下がりしやすくなります。
そのため経済ニュースを見る場合は、アメリカの中央銀行の発表、特に「米ドルに関するニュース」を読むことが大事です。
また「自然災害」「政権交代などの政治的なイベント」「テロ」などの問題にも影響を受けます。
そのようなニュースを読んだときも金価格の値動きを確認するようにしましょう。
一方、毎月定期的に発表される雇用統計や消費者態度指数などの経済指標がありますが、これらのニュースは金価格にあまり影響しないと考えています。
短期売買のタイミングを探る上では、規模が大きく、世界経済に影響を与えそうなニュースに絞ったほうが効率が良いでしょう。
ニュースを見て、すぐに売買をしてはいけない
ここで1つ注意したいのは、ニュースを読んですぐに売買してはいけないということです。
例えば、大きな自然災害などが起きると、経済の先行きに不安を感じた人が金を買い急ぎ、金価格が上がる傾向があります。
しかし、その情報を見たときには、おそらくすでに早耳の投資家か、自動売買のシステム(アルゴリズム)が金を買っています。
つまり、情報を見てから動き出しても出遅れる可能性が高く、高値で買ってしまう可能性も大きくなるのです。
そのため、金価格に影響しそうなニュースは、金価格の上げ下げの予想材料にするのではなく、金価格のボラティリティ(値動きの幅)が大きくなるきっかけととらえるようにしましょう。
短期売買で利益を得るためには売買が活性化し、値動きが大きくなることが大事です。
そのきっかけがきたことをニュースによって知った上で、上げ下げの予想はチャートを見て考えることが大事です。
(本原稿は『ゴールド投資──リスクを冒さずお金持ちになれる方法』からの抜粋・編集したものです)