「反転の問いかけ」の意義

 だから一度問題解決を脇に置いてみる。そのときに、

「どうしたら、みんなが過食嘔吐になれるか」

 を考えていく。

 すると、「常に親の顔色を気にしながら生活する」とか「なるべく高い人生の目標を立てる」とか「絶対に人に弱音を吐かない」など、過食嘔吐に向かっていく方法(プロセス)がどんどん浮かび上がってきます。

 組織ではいろいろな問題が起こっていて、その問題を解決したいと思っています。でも、様々な問題って、いろいろな背景があって、その背景の苦しみや悩みの表現として必然的に出てきたもので、ある意味、問題が出てくることって大事なんだよなと思うんです。

 でも、多くの人が解決することは考えますが、問題の意味は考えることは難しいのです。自分と問題との関わりを一人で発見することは困難です。

 でも、他者を交えつつ反転的に考えることによって、

どうしたら、その問題はもっと悪化していくだろう?
どんな行動を取ることで、その問題をより悪くしていけるだろう?

 と考えていくと、自分が何に困っていたのかとか、いろいろな行動パターン、関わり方のパターンが浮かび上がってくる。

「反転の問いかけ」は、「あなたも問題の一部ですよ」と気づかせることが目的ではありません。

 自分が「何に困っているのか」見えてきたり、問題を「悪化させるための行動パターン」が浮かび上がってくると、自分の苦労がわかったり、問題への手立てが見えてきますよね。

 そういう意味でも『組織が変わる』で紹介している「2 on 2」の対話メソッドの中にある「反転の問いかけ」には問題を歓迎するという視点が示せたかなと感じています。

【「だから、この本。」大好評連載】

<第1回> あなたの会社を蝕む6つの「慢性疾患」と「依存症」の知られざる関係
<第2回>【チームの雰囲気をもっと悪くするには?】という“反転の問い”がチームの雰囲気をよくする理由
<第3回> イキイキ・やりがいの対話から変革とイノベーションの対話へ!シビアな時代に生き残る「対話」の力とは?
<第4回> 小さな事件を重大事故にしないできるリーダーの新しい習慣【2 on 2】の対話法

<第5回> 三流リーダーは組織【を】変える、一流リーダーは組織【が】変わる

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