新型コロナ拡大を機に日本でも急速に広まった「テレワーク」。多くのビジネスパーソンが、WEB会議やチャットツールの使い方など、個別のノウハウには習熟してきているように見えるが、置き去りにされたままなのが「テレワークのマネジメント」手法だ。
これまでと違い、目の前にいない「見えない部下」を相手に、どのように育成し、管理し、評価していけばよいのだろうか? その解決策を示したのが、パーソル総合研究所による大規模な「テレワーク調査」のデータをもとに、経営層・管理職の豊富なコーチング経験を持つ同社執行役員の髙橋豊氏が執筆した『テレワーク時代のマネジメントの教科書』だ。
立教大学教授・中原淳氏も、「科学的データにもとづく、現場ですぐに使える貴重なノウハウ!」と絶賛する本書から、テレワーク下での具体的なマネジメント術を、解説していく。

「1万時間の法則」は仕事にもあてはまるのか?Photo: Adobe Stock

仕事を任せる前に欠かせないこと

「1万時間の法則」という言葉が一時期注目を集めました。「何らかの分野で一流になろうと思ったら、1万時間の訓練が必要である」という主旨でしたが、賛否両論が飛び交ったようです。反対した人の意見は「とくに初学者は何を学び、何を理解すればよいのかがわからない。ただ漠然と1万時間の努力をしたところで、進歩しない」というものでした。私もその通りだと思います。

 仕事に関して言えば「この仕事の手順はこうで、その通りにすると、いつまでにどのような成果物が出来上がり、それは社内のこのような位置付けのプロジェクトにおいてこのような役に立つ」という全体像を最初に理解してもらわなければいけません。そして、丁寧に手順を教え、さらにその手順の中にあるポイントをしっかりと伝えることが必要です。そうしなければ、たとえ1万時間、一生懸命頑張っても、勘所が間違っていて成果が上がらない、という事態が起こりかねません。

 どのような説明をしながら仕事を渡すのがよいのかということは、本書で繰り返しお話したとおりです。テレワークでは今まで以上に仕事を頼むときに説明が求められますが、とくに新人に仕事を渡すときは注意してください。

 マネージャー世代は「自分で周囲を見て、自分で気付きなさい」というスタンスかもしれませんが、前回もお話しした通り、いまの若手は手取り足取り指導されながら育ってきています。さまざまな物事の意義付けも、親や学校からしてもらってきています。まずは指導者から話し、少しずつ自分で気付けるように育てていくしかありません。

仕事をさせたら、日報でフィードバック

 OJTの期間中は、信頼関係を築くためにも日報を書かせ、トレーナーが欠かさずフィードバックするようにしましょう。オープンにして、担当トレーナーだけでなく、チームメンバーや直属の上司などの目に触れるようにしておくことも大事です。トレーナー以外の人からのコメントも書き込めるようにしておくと、新人のモチベーションアップにもつながります。
日報に書いてもらうことは、以下のようなことです。

・その日にした仕事
・うまくいったことと、その理由
・うまくいかなかったことと、その理由
・気付いたこと、考えたこと、これから活かしたいこと