全員面談にあたっての
5つの基本と4つの留意点

参考までに、私が実践してきた全員面談の「5つの基本スタイル」を紹介しましょう。

①原則として各部門とも一般社員→主任クラス→管理職の順に面談する
(先に上司から「部下の評価」を聞くと先入観になってしまうから)

②事前に人事部でその人のプロフィールを用意してもらい、目を通しておく

③所要時間は一人平均20~30分で、時間は厳守する

④聞き取る内容は、現状の業務をベースに、これまでのキャリアや将来的なこと、自分の仕事や会社に対する思いや意見など

⑤「あなたという人を知りたい」「会社で何を実現したいのか教えてほしい」というスタンスを崩さず、詰問口調や生々しい質問は避ける
(相手に「分析されている」「評価されている」という警戒心を抱かせない)

さらにこの基本を踏まえた上で、以下に挙げる4つのポイントに留意します。

①聞き役に徹し、相手に話させる
この面談の主役は従業員であり、社長のことや会社の事情を訴える場ではありません。
「相手の話を聞く時間:8」と「こちらが話す時間:2」くらいの割合で十分です。

②必ずメモを取る
面談時の印象や話の内容をメモに取って残しておきます。事細かに書く必要はなく、箇条書きの簡単なもので構いません。ただし、そのメモは、「言った、言わない」の言質を取るための物証にしないこと。

③決めた時間は厳守する
誰が相手でも例外なく所要時間はきっちり守ります。こうした面談でいちばん重要なのは「公平さ」です。人や役職によって時間に差をつけると、不公平感が生まれて、あらぬ憶測を招きかねません。

④感情に左右されない
この面談は自分の「敵味方」や「好き嫌い」を識別する場ではなく、従業員一人ひとりの「資質」を見定めるためのもの。カチンときても、持ち上げられていい気持ちになっても、自分の感情をグッと抑えて冷静さを失わない自制心が求めらます。

従業員との面談は社長の自己アピールの場ではありません。「主役は従業員」と心得て、公平かつ冷静な態度で聞き役に徹し、個々の資質を洞察・把握することに努めてください。

※「よそ者リーダーとはどんな人か」「よそ者リーダーが身につけたい3つの心構えやマネジメントとは何か」については、本連載の第1回も併せてご覧いただければと思います。

次回は、よそ者リーダーが注意したい「先入観」についてについてお伝えします)