その他、相鉄HDが横浜市西部の米軍施設跡地で開発を検討していた、東京ディズニーランド並みの「超大型テーマパーク」を断念したと5月27日付朝日新聞(デジタル)が報じている。相鉄HDも交渉先の提携事業者も、新型コロナの影響により経営に打撃を受けたことが一因という。

 それでは、各社の今年度の決算はどのようになるだろうか。昨年度の四半期単位の運輸部門の営業利益を見ると、緊急事態宣言が発出された第1四半期と第4四半期は大きな赤字を計上しているが、感染拡大が一時落ち着き、東京都を出発地とするGo Toトラベルキャンペーンが行われた第3四半期は各社とも持ち直していたことが分かる。

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 同キャンペーンの是非については、ここでは触れない。だが一つの基準として、あの程度の人の動きが戻るかどうかが、鉄道を中心とする運輸部門の分水嶺になるということだ。

 今期の通期業績見通しでは、東急が「下期にかけて行動制約等が段階的に解除され、国内経済活動が正常化に向かうことによる一定の回復を見込」むとしているように、各社ともワクチン接種が進み、移動自粛ムードが緩和されれば、コスト削減の推進により、黒字転換を見込めるとしている。

 しかし、高齢者へのワクチン接種は徐々に進みつつあるが、その他の国民へのワクチン接種のスケジュールがいまだに見通せない中、下期からすぐに人の移動が回復基調に乗るとは、現時点では考えにくい。早くても年明け、場合によっては来年度まで待つことになり、今期の決算も厳しい数字が並ぶことになりそうだ。