派閥という社内政治の情報は
一切シャットアウト

もうひとつ留意しなければいけないのが、学閥や主流派、反主流派などの「派閥」という名のインフォーマルグループです。

派閥が「趣味の仲間」と違うのは、「利害」で結びついている集団だという点。インフォーマルグループでありながら「社内政治」に深く関わっているため、出世争いや利権争いなどを引き起こす可能性もあります。

陰湿ないじめや嫌がらせ、だまし討ちに裏工作、足の引っ張り合い──残念ながら会社によっては、企業小説も真っ青なドロドロの派閥闘争が存在します。本人たちは決してネガティブなグループではなく、「○○さんを中心としたほうが会社は良くなる」と自らを正当化し、そこに経営トップを巻き込もうとするのです。

こうした“厄介な”インフォーマルグループは、経営に悪影響を及ぼすだけでなく、会社全体の利益を損なう事態を招くような、リスキーな存在にもなりかねません。

ただ、群れることが人間の“業”であるなら、派閥やグループの発生そのものを根絶することは、現実問題として難しいと言わざるをえません。

では経営を任された社長という立場で、この厄介なインフォーマルグループにどう対処すべきなのでしょうか。

関わらずに、距離を置く──これに尽きると私は考えます。

どんな会社でも「インフォーマルグループとしての派閥は存在する」と認識した上で、その存在を意識しない。色眼鏡で見ない。

社内の“政治的地図”に関して、リーダーである社長がむやみに先入観や偏った感情を持つべきではありません。

「誰々を中心にした○○大卒の派閥がある」
「取締役のポストを巡って、○○派と△△派が火花を散らしている」

といった社内政治の現状を把握しておく程度で十分でしょう。

むしろ中途半端に知るくらいなら、そうした情報を一切シャットアウトするほうがいいとさえ思っています。

「誰々は○○派らしい」「誰々は△△専務といつもつるんでいる」といったウワサがあっても、よくよく聞くと、「たまたま同じ沿線なのでよく帰りが一緒になるだけで、仕事上のつながりはない」などというのは、よくある話。中途半端に情報を集めすぎると、かえって人を見る目の公平さを欠くことになりかねません。

派閥に対しては「その存在を認識するに留め、どの派閥とも一定の距離を置く」というスタンスを守る。それが、常に公平であるべき社長のあり方だと考えます。

※「よそ者リーダーとはどんな人か」「よそ者リーダーが身につけたい3つの心構えやマネジメントとは何か」については、本連載の初回記事も併せてご覧いただければと思います。

次回は、組織づくりにおける「飲みニュケーション」についてお伝えします)