元徴用工判決は徴用工の生活や待遇などの被害事実よりも、過去の清算の在り方を「正す」ことに主眼が置かれている。

 また、慰安婦問題においても、韓国側は常に日本側の道義的責任には満足せず、法的責任を認めることを要求してきた。

 元慰安婦や元徴用工支援団体が裁判所に問題を持ち込むのは、単に救済を求めてということではなく、日韓関係を根底から覆す意図があると考えざるを得ないだろう。

 それは日米韓の協力や連携に亀裂を生じさせることにもなる。韓国の革新系にはそのような活動をする人がいるという現実を見つめなければならないだろう。

大法院とは真逆となった
ソウル地裁の判決

 こうした大法院の判決があるにもかかわらず、ソウル地裁のキム・ヤンホ裁判長は判決で「(日韓請求権協定の)『完全かつ最終的解決』『いかなる主張もすることはできない』という文言の意味は、個人請求権の完全な消滅まではいかないが、韓国国民や日本や日本国民を相手に訴訟で権利を行使することは制限されるという意味で解釈することが妥当だ」と断じた。

 さらに元徴用工の請求を認めることについては、条約法に関するウィーン条約を根拠に、日韓請求権協定の不履行を韓国の国内事情を理由に正当化できないと判じた。要するに、「大法院判決は国際法違反である」というのである。

 他方、18年の大法院の確定判決をもとに日本製鉄や三菱重工の韓国内資産の現金化手続きは進んでいる。

 日本製鉄の韓国内資産については、大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部が委託した鑑定人が1月15日付で裁判所に鑑定書を提出した。