コロナ不況と地元回帰によって、私立大学専願から国公立大学志望にかじを切る受験生が増えているという。だが、今から新たな試験科目の勉強を一から始めるのも困難だ。そこで、特集『入試・就職・序列 大学』(全23回)の#20では、難易度はもちろん高いが3教科で受験可能な国公立大学リストを掲載する。中には、一流国立大学の名前も登場する。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
コロナ禍で私立大志望から
国公立大志望への切り替えが増加?
「昨年以降、それまで私立大学専願だった受験生が急きょ、国公立大学との併願に切り替えるケースが増えている」――。
そう話すのは、大学受験個別指導塾、武田塾の教務、高田史拓氏だ。その理由は、やはり新型コロナウイルスの感染拡大にある。
「コロナ禍に起因する国公立大志望への切り替えには、主に二つの理由がある。一つは、いわゆるコロナ不況。保護者に私立大に行かせるような学費の余裕がなくなったことで、子どもを学費の安い国公立大に行かせたいと希望するケース。そして、もう一つは、地方の受験生の地元志向の高まり。『コロナ感染者が増えている首都圏や関西圏の私立大に行くぐらいなら地元の国公立大で十分だ』という感染リスクの回避が動機になっている」(高田氏)
しかし、3教科3科目受験を基本とする私立大入試に向けて受験勉強をしてきた私立大専願者が、5教科7科目を基本とする国立大受験対策に切り替えるのはもちろん容易ではない。特に文系受験者にとってハードルの高い教科が、“数学”だという。
「文系の私立大専願者の中には、高校生の早い段階から数学を完全に捨ててきた受験生も少なくない。数学を一から勉強するとなると、国公立大の個別試験で戦えるレベルにするには、猛勉強しても最低1年ぐらいは必要になる。数学や、その他の共通テスト対策に時間を取られることで他の教科の勉強時間が減り、私立大受験も失敗するという共倒れになりかねない」と、高田氏は警告する。
では、私立大専願の受験生が国公立大に挑戦するのは無謀過ぎるのか?その答えは否だ。次ページで掲載するように、3教科でも受験できる国公立大が、難関国立大を含めて少なからず存在するからだ。