貸借対照表は、なぜ左右がバランスするのか?
林教授 ところで、これからZoomで田端君と話せるかな。
カノン 大学の授業で毎日使っていますから。ちょっと待ってください。いま呼びますから。
カノン 田端君。林教授先生があなたと話したいって。ちょっと代わるね。
田端 林先生。お噂はカノンから聞いています。
林教授 早速だが、問題を出す。君には簡単すぎるかもしれないけどね。
問題「貸借対照表はなぜバランスするのか?」
カノン 田端君。答えられる?
田端 簡単だよ。貸借対照表がバランスするのは、借方(左)と貸方(右)の金額がバランスするように利益で調整しているからです。
林教授 なるほど、カノンちゃんはどう思うかな。
カノン 会計の教室に書いてあったけど……。忘れちゃいました。
林教授 二人ともそれで会計を勉強しているのかね。貸借対照表は不思議な機能が備わっていて、計算に間違いがない限り自動的にバランスするんだよ。このバランスする過程を理解することが大切なんだ。次の図を見てご覧。
田端 なんですか、これ?
林教授 『会計の教室』に載せた図版だ。会社はお金を調達する。これが貸借対照表の右側の負債と資本。このお金を運用した姿が左側の資産を表している。
田端 つまり貸借対照表をデフォルメした図ですね?
林教授 お金を運用して資産が増えれば、貸借対照表の左側が増える。増えた資産は会社が商売を通じて調達した資本そのものだから、貸借対照表の右側も増える。これが利益剰余金だ。このように、貸借対照表は自動的にバランスするようにできているんだ。お金を預かって商売していたベニスの商人による世紀の大発明と言っていい。
田端 そうなんですね。