お金は、貸借対照表の中を循環しながら資産を増やす
林教授 次は貸借対照表をお金の流れで説明しよう。下の図をよく見てほしい。会社は商売に使うお金を、仕入先、銀行、株主から調達する。調達したお金はまずお金のダムに集められる。
田端 それが「現金預金」ですね。
林教授 そういうことだ。次に、ダムに溜まったお金はビジネスプロセスで運用する。これが商売だ。ここでお金は「商品」に形を変え、顧客に売ることで「売掛金」に変わり、売掛金を回収することで「現金預金」となり「お金のダム」に流入する。そして再びビジネスプロセスに投入される。こうしてお金はぐるぐると循環しながらお金を増やす。回収したお金と使ったお金の差が営業キャッシュフローだ。
お金100→商品100→売掛金150→お金150
カノン 利益はどこで計上するのですか?
林教授 商品100が売掛金150に変わるタイミングだ。
カノン そうか。商品と売掛金が交換された時ですね。でも、売掛金はまだお金ではないから利益50もお金ではない。
林教授 その通り。売掛金が回収されて初めてお金になる。
カノン 納得です。
林教授 それから、お金の使い道は商売だけではなく、固定資産を買ったり、借金を返済したり、配当金を支払ったりもする。固定資産は商売のインフラだ。借入しなければ倒産することもある。そして、借入金は返さなくてはなない。お金は、こうして貸借対照表の中をクルクルと循環しながら資産を増やしているわけだ。では田端君に質問だ。資産がいくら増えたかはどこを見ればわかるかな。
田端 前期と当期の資産の差額を計算すればいいんじゃありませんか?
林教授 君は頭が硬いね。さっき説明したことを思い出して欲しい。貸借対照表がなぜバランスするかを理解していれば、簡単にわかる。
田端 利益剰余金(税引後当期利益)ですか。
林教授 その通り。わかったかね。
田端 バッチリです。