38万部超のベストセラー『餃子屋と高級フレンチ』シリーズでおなじみの著者・林 總氏の最新刊『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室』がダイヤモンド社から発売になりました。本連載では、同書の中から抜粋して決算書を読み解くために必要な基本の知識をお伝えしていきます。登場人物は、林教授と生徒の川村カノンの2人。知識ゼロから始めて、いかにして決算書を読み解くスキルを身につけていくのか? 川村カノンになったつもりで、本連載にお付き合いください。好評連載のバックナンバーはこちらからどうぞ

アップルが商売上手かどうかは、<br />貸借対照表のどこを見れば<br />わかるのか?Photo: Adobe Stock

買掛金が増えると、なぜ運転資本は減るのか?

カノン 運転資本は(商品+売掛金-買掛金)ですから、これが増えるという意味は、現金がその金額だけ減ってしまうということですね。

林教授 完璧だ、と言いたいところだが、心配な点があってね。1つ確認させてくれないか。

カノン なんでしょうか?

林教授 君の頭の中で、営業キャッシュフローの直接法と間接法が完全に一致しているか、という点だ。

カノン どうかしら?

林教授 心配になってきた。では確認の質問をしよう。「ビジネスプロセス」では、1年間で何百回と商売が繰り返され、商品と売掛金が増えたり減ったりする。もしも、何らかの理由で商品や売掛金が「ビジネスプロセス」の中で滞ったとしたら、営業キャッシュフローにどのような影響を与えるだろうか

カノン 直接法で考えれば、営業支出は同じでも、現金が商品や売掛金に滞ったままですから営業収入は増えません。つまり、差額の営業キャッシュフローは減少します。

林教授 その通り。あえて品のない喩えを使えば「便秘」の状態だね。

カノン その便秘の話、これで二度目ですね。覚えています。