あなたが、激務を抱えて疲れている同僚の姿に胸を痛めているとします。
その同僚の仕事をするのは、誰でしょうか? 同僚ですよね。
たとえその同僚が、忙しすぎて手が回らないことがあり、その結果困る人が他に出てくるとしても、その仕事を割り当てられているのは誰でしょうか? 同僚ですよね。
あなたが何とかしようとする前に、あなたが気になっていることについて1つひとつ、「これは誰の仕事(分担)?」と振り返ってみましょう。
あなた以外の人の仕事が含まれていませんか?
それは、あなたが何とかしないといけないことでしょうか。
あなたが「何とかしたい」と感じていることの多くは、あなた以外の誰かの問題である可能性があります。
何とかしたい、という気持ちは思いやりからくるものかもしれません。ですが、あなたが何とかできることとは限らないのです。
「とりこぼされた仕事」はそのままにしていい
心の距離は、たとえば家事や仕事の分担にも関係します。
あなたは、自分の心の陣地の中のことだけおこないましょう。
日本の働き方は、自分のやるべきことがあいまいな状況も多く、誰も手をつけない「とりこぼされた仕事」を生みやすくなっています。
「とりこぼされた仕事」には、たとえば次のようなものがあります。
・行き違いがある人たちの仲をとりもとうとする
・マニュアルに書かれていない操作をし、誰も気づかなかったエラーを発見する
・両親が不仲で家庭内の空気が険悪なとき、家族全員を幸せにしようと努力する
傷つきやすい人はいろいろなことに気がつくし、気がついたら何とかしないと落ち着きません。なので、そのためならガマンしてもかまわない、と心のどこかで思っています。そして、「とりこぼされた仕事」を拾い上げて抱えこみ、疲れ果ててしまうのです。
でも、ときには「とりこぼされた仕事」に手をつけないことです。
致命的なことではないなら、あえて手を出さない。ミスによるトラブルが起きたら、関係者全員が何かを学ぶ機会なのです。
ただし、「とりこぼされた仕事」をあなたが対処しても負担が増えず、傷つくことがないなら問題ありません。「とりこぼされた仕事」を拾いすぎて自分が損した気持ちになることが問題なのです。
対処しないままでいるのは、後ろ髪を引かれる思いがすることもあるでしょう。
ですが、傷つくような状況を生まないためにも、「とりこぼされた仕事」と距離をとる必要があることを知っておきましょう。