『発達障害サバイバルガイド──「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』10万部を突破! 今回は、著者の借金玉さんに様々な「リアルな困りごと」について質問をぶつけてみました。

発達障害の僕が発見した「若い頃ダメでも30代に伸びる人」「センスはいいのに伸び悩む人」の差Photo: Adobe Stock

「20代に手を動かしたか」がその後の命運を分ける!

――借金玉さんは20代に、金融機関での勤務や起業、倒産など、さまざまな経験をしてきたと思います。振り返っていかがですか?

借金玉 僕の20代は本当に散々でした。借金も2000万の借金玉になってしまいましたし……。

――「失敗したからこそ」の若い人への教訓はありますか?

借金玉 20代は「センス」ではなく「稼働能力」を伸ばせ。これが僕の一番伝えたいメッセージですね。

 今、30代半ばになってみると、学生時代「あいつはセンスがある」と評価され、なんとなく有象無象の中で頭一つ抜けていると認知されてた人たちは誰一人視界に残っていないことに気づきます。逆に「あいつはとにかく手が動くしフットワークも軽い」みたいな人は全員視界に残っている。この差は怖いくらいです。

 若い頃「あいつは手こそ動くけど、凡庸」っていう大変失礼な評価を下していた人たちが、30過ぎたあたりから一人また一人と「非凡」を手に入れていく。その福音を30代になってうらやむくらいなら、今どんどん手を動かせばいいんです。

――そもそもセンスってなんなのでしょう? 身に付けるのは大変そうですが。

借金玉 僕の考えるセンスとは「安定した稼働能力はないが点で物事を狙って当てる能力はある」こと。実はそういう人って結構な数いるんですけど、「ここ一番は血反吐吐き散らかしてでもやってのける」みたいなサブウェポンとセットでないと、ほとんど存在しないのと同義だなと最近は思っています。

 逆に、稼働能力さえあれば、センスはインプットとアウトプットの増量で必ず伸ばせます。「稼働量が上昇するとともにセンスも上昇し、相互作用としてレベルが上がり続ける」みたいな状況は、意外となくはないので大丈夫ですよ!

――発達障害の人は、「納得しないと手が止まってしまう」ことが多いですよね。

借金玉 僕もそうでした。どちらかというとセンス偏重人間だったという自負はあります。

 でも、「苦しい出来ない苦しい出来ない、でもやりますやるんです! やります! やる気はあるんです! ただ身体が動かないだけで、いややります! すぐやります! やれるんです!」みたいなところを経由しないでここ一番のセンスぶちかますのは、そもそも無理なんです。

 僕自身は30代前半に借金を背負って無一文の借金玉になった後、非正規社員として不動産営業をやったのが転機になりました。スーツと靴とカバンをそろえて、朝出勤。お客様に物件のご案内をして売上をとる。オフィスに帰って事務作業。家に帰ってブログや文章を書く。この「誰にも認められないけどやっていく」と決めて行動していた積み重ねの日々が、今の僕につながっていることは確かです。