某大手金融機関に勤めていた著者は、40歳で早期リタイアを考え始め、2019年に資産1億円を達成。51歳で早期リタイアを実現した。初の著書『【エル式】 米国株投資で1億円』では、FIRE(経済的自立と早期退職)の原動力となった米国株投資術を全公開。基礎の基礎から、年代・目的別の投資指南、最強の投資先10銘柄に至るまで、“初心者以上マニア未満”の全個人投資家に即役立つ米国株投資を徹底指南する。

電卓 考えるPhoto: Adobe Stock

米国株投資の基礎知識をわかりやすく伝えるため、Q&A形式で基礎の基礎からお伝えします。

Q 資金が少ないのですが、米国株投資は信用取引もできますか?

A 信用取引で米国株は取引できないと考えてください。

株式投資では、信用取引を利用すると、現金や株式を担保にその評価額の約3.3倍まで投資できます。

信用取引とは、証券会社にいわば借金して投資するものですが、投資に成功すれば利益が約3.3倍に拡大しますが、失敗すれば損失が約3.3倍に膨らんでしまうリスキーな取引ともいえます。

日本株では信用取引を使えますが、日本で米国株を扱っているネット証券や店頭証券では信用取引で米国株を買うことはできません。

日本株には、極端な暴騰や暴落を防ぐために「ストップ高」「ストップ安」という値幅制限があります。

値幅制限の上限まで株価が上昇するとストップ高となり、それ以上株価は上がらなくなります。逆に値幅制限の下限まで株価が下落するとストップ安となり、それ以上株価は下がらなくなるのです。

ところが、米国株式市場には値幅制限がないため、暴落時にブレーキがかからなくなり、信用取引をしていると損失があっという間に膨らむ恐れがあります。

米国市場には値幅制限の変わりに、前述した「サーキットブレーカー」というシステムがありますが、これは一時的に取引を停止するだけであり、値動きを止めるものではないのです。

どうしても信用取引がしたいなら、アメリカの証券会社に口座を開く必要があります。

日本に住んでいても、アメリカの証券会社に口座を開くことは可能ですが、そこで信用取引をすると、税制面などで面倒な手続きが必要になります。

日本の個人投資家で、アメリカの証券会社に口座を持っている人もいますが、その大半は信用取引をするためではなく、日本の証券会社では買えない米国株や米国ETFに投資するためのようです。

私はセミリタイアするまで、日本株でも信用取引をした経験はありません。

金融機関に勤務している「証券外務員」は、信用取引やFX(外国為替証拠金取引)は投機的すぎるという理由で禁止されているのです。

セミリタイア後はそうした縛りがなくなりましたから、日本株に限り、部分的に使う場面も出てきました。

米国株は1株から買えますから、信用取引を行う必然性を感じていません。