東芝と三菱電機の不祥事
「不毛な悪さ比べ」だがどちらが悪い?

 さて、「悪い」という判断は主観的なものだが、読者は東芝と三菱電機とを比較して、どちらをより悪いと判断されるだろうか。

 かつての「不適切会計」問題に、昨年の株主総会における株主への不当な働きかけの嫌疑など、東芝は確かに悪い。

 一方、株主に明らかに必要な情報開示をしなかった点で、三菱電機は株主に対して十分悪い。その扱いを了承していたなら経産省も大いに悪いし、単に適切な情報の開示を指導しなかったというのなら官庁として無能だ。彼らに日本企業のコーポレートガバナンス(企業統治)の改革を主導することを期待するのは、泥水で床を掃除するくらい虚しいことだ。

 ところが三菱電機の場合は、「悪さ」の相手が株主や投資家だけではなく、顧客や、さらにその先にいる顧客の顧客であることが深刻だ。

 筆者はこの不毛な悪さ比べにあって、三菱電機の方に軍配を上げる。顧客をあざむいて製品を販売していたのだし、その先の利用者に対しては安全上の問題が生じる可能性さえあったのだ。この先しばらくの間、訪ねたビルで三菱電機製のエレベーターに乗ると不安を覚えそうだ。不正が、他の製品に及んでいる可能性はないか。

「東芝型」と「三菱電機型」
同じ不祥事でも異なる投資評価

 さて、悪い、悪い、と怒ってばかりいても仕方がない。筆者は(おそらくは読者も)、東芝や三菱電機の親でも先生でもない(幸いなことだ)。彼らのしつけや矯正に責任を負っているわけではない。

 そこで、両社を投資の観点から眺めることにしよう。