明日から実践できる
デキる管理職に見える3条件
会社員なら、管理職として新しい職場に赴任する、または、転職していきなり重要な幹部の仕事を任されることがある。そんなとき、業務上の問題やメンバーの特性を何も知らない中で、いきなり組織を機能させなければならない。この厳しい局面にどう対応すればよいか、相談に乗ることが多い。
一般的に正解とされるのは、メンバーとじっくり話す機会をもち、特性をよく把握して、それぞれがやりたいこと、得意なことを任せるといったところであろうか。あるいは、事前にしっかりと学習し、その部署が抱えている本質的な課題を把握したうえで改善のための仮説を持つ、などだろうか。もちろん、いずれも重要なことには違いなく、できるならぜひやるべきである。しかし、もっと簡単で、かつ即効性があって誰でもできる方法がある。相談されるたびに、多くの人に推奨してきたものだ。
それは、以下の三つである。
1.上質のスーツと靴に買い替える
2.話すスピードを落としてゆっくりにする
3.意思決定をする場面で、前提条件と価値判断の基準を問い直す
1.上質のスーツと靴に買い替える
見た目に投資をすることである。アホみたいな話だが、人は驚くほど見栄えに左右されてしまうものなのだ。服装が変わるだけで大きな影響が出ることは幾多の調査でも報告されている。
『影響力の武器(実践編)』(ロバート・チャルディーニ著)という社会心理学者が書いた本がある。営業の世界や広告業界に潜入して、その説得力の手口を調査してまとめたものだ。そこでは「たとえば、ある人が赤信号と車の流れを(ついでに言えば法律も)無視して通りを横断したときに何人がついていくかを調べた実験では、その人がカジュアルな服装ではなくスーツを着ていると、ついていく人の数が3.5倍になる」といった結果が報告されている。