今回のような場合、部下は、あなたに対してあまり情報を持っていない。この人はデキる人なのかどうか、疑問を持っている状態なのだ。そこで上質のスーツを着こなしてさっそうと登場し、シャキッと挨拶するならば、そこに「権威」を感じて、上司として迎えようという気になる。

「権威は、とりわけ確信を持てない状況下で影響力を発揮し、自分よりも深い知識があり、信用できると思える相手の助言や提言に従うよう、人に働きかける」(『影響力の武器(実践編)』から)

 立派そうな服を着ているから、中身も立派だろうと思うのである。部長であれば、平取締役のようないでたちで、課長であれば部長のような振る舞いで、一つ上のクラスの雰囲気をまとうくらいがちょうどよい。

 なお、最近は、ビジネスカジュアルの装いが一般的になり、スーツの着用が求められないというシーンも多い。その場合、スーツよりも難易度が上がる。上質のカジュアルウエアの着こなしは難しいが、会社の中でもっともセンスの良い人をまねることで対応したい。間違っても休日のゴルフウエアと思われてはならない。女性の場合も服装選びに自信がなければ、やはり「できる雰囲気」を持った人の、派手すぎない着こなしをお手本にするのがいいだろう。

 こうした見た目の効果は、会議の席などでも発揮される。お誕生日席や真ん中に座ることで、部下は真ん中に座る人を重要な人だと認識するのだ。