でも、これってやっぱりCSRでしょ。たしかにこの取り組みを行うことでユニクロのファンは世界中に増えるだろうけれど、長期的に本業につながるのかというと疑わしいよね……とお思いのみなさん、この話はここで終わるわけではないのです。

CSRを、ただのCSRで終わらせないために

 もちろんファーストリテイリング自身もこの活動をCSRと位置づけています。けれど同時に彼らはこの活動を、「通常では出店できない地域でユニクロを知ってもらえる」機会であり、「民族、宗教などで異なる衣服の嗜好やニーズを知る」機会であるとも捉えているのだそうです。活動レポートを見ていても、現地の方に衣服に対する想いやニーズを聞いていたり、女の子たちの衣装ケースを見せてもらったり、という写真も出てきます。これをマーケティングリサーチと捉えると、ファーストリテイリングの本業にとっても非常に重要な活動であることがわかります

 コミュニティにWinを作ることはすぐに利益に直結するわけではない、けれど本業と切り離したCSRという位置づけにとどめず、将来自社の力になるようきちんと計画のうえ行う。こうした姿勢は、本業を拡大していくうえでの推進力にもなりますし、「人の役に立っている」ことを社員が直接目にすることで「働きがい」が生まれ、Winを増やしていくことに確実につながっていくのではないでしょうか。