◎得意分野の仕事をやってもらう
人には向き・不向きがある。
得意なことには興味を持って取り組みやすいし、反対もしかりである。
そこで下位2割と話をした。SVであれば一緒に加盟店を回り、食事をしながら悩みや成長の阻害要因を聞いた。
どんなことが得意なのか、どんなことに興味があるのかを聞き取り、それを人事部長と相談して配置転換する。
少しでも興味のある仕事ができる場所を見つけることができれば、社員は以前より気持ちよく働けるようになる。
◎得意分野がない場合は得意分野をつくる
やる気があるのに成果の出ない社員には、なんらかの武器を持たせることを考えた。
たとえば専門研修を受けさせる。研修は刺激になるからだ。
当社では、本書で触れたとおり「エクセル経営」の研修や実践を通じて頭角を現し、評価が上がった人が多かった。
それまではおもにコミュニケーション力を重点的に評価してきた。
コミュニケーションが苦手な人は、データ活用力が高い人が多かった。
自分の得意分野がない人がデータ活用力に興味を持ち、猛勉強した面もある。するとデータ分析に強い人材になり、加盟店にも喜ばれ、評価が180度変わった。
◎長所をほめて自信を持ってもらう
データ活用研修では低めの目標を設定し、達成したらほめて自信をつけさせた。
データ活用によって業務を改善した結果を発表する会では、どんな内容でも絶対に批判せず、前向きにほめまくるようにした。
自分が得意だと思ったら人は伸びる。人よりもすぐれていると思ったら伸びる。
ほめるといっても言葉を飾る必要はなく、事実を伝えればいい。
1番、2番の実績を挙げた社員には、その事実をそのまま伝えればほめたことになる。
分析チームで上位の人は「分析チームでトップクラス」、分析チームで下位の人でも「それでも他の一般社員に比べて頭角を現している」と伝えた。
ただ、何度話をしても興味がはっきりしない、強みがわからないという社員もいた。
そういう人には3つの選択肢を与え「この中だったらどれがいいか」と選ばせたこともある。
自分の強みに対し自覚のない人もいたので、そういう人とは面談を繰り返しながら人事部長と相談した。そうしているうちに「几帳面さが強み」とわかり、丁寧さ、根気が求められる部署に配転した。現在はそこで活躍している。人には人それぞれの強みがあるのだ。
『ワークマン式「しない経営」』には「頑張らないで成果を上げるノウハウ」が一冊に凝縮されています。他の著者には絶対出せない秘伝のノウハウ満載ですので、ぜひチェックしてみてください。
【著者からのメッセージ】
たちまち5万部突破! 信頼のベストセラー!
急成長ワークマンの
仕掛け人が初めて全てを語る!
ワークマンは「しない会社」だ。
◎社員のストレスになることはしない
残業しない。
仕事の期限を設けない。
ノルマと短期目標を設定しない。
◎ワークマンらしくないことはしない
他社と競争しない。
値引をしない。
デザインを変えない。
顧客管理をしない。
取引先を変えない。
加盟店は、対面販売をしない、閉店後にレジを締めない、ノルマもない。
◎価値を生まない無駄なことはしない
社内行事をしない。
会議を極力しない。
経営幹部は極力出社しない。
幹部は思いつきでアイデアを口にしない。
目標を定め、ノルマを決め、期限までにやりきるといった多くの企業がやっていることは一切しない。
とりわけ「頑張る」はしないどころか、禁止だ。
それでも業績は10期連続最高益を更新中だ。
2020年3月期は、チェーン全店売上(ワークマンとワークマンプラス)が1220億円(前年同期比31.2%増)。営業利益192億円(同41.7%増)、経常利益207億円(同40%増)、純利益134億円(同36.3%増)となった。
2020年9月末現在、ワークマンとワークマンプラスの店舗数は885店舗(ワークマン663店舗、ワークマンプラス222店舗)となり、ユニクロの国内店舗数を抜いた。
「しない会社」が、どのようにブルーオーシャン市場を発見し、客層拡大して業績を上げたのか。どのように自分の頭で考える社員を育てたのか。
これが本書のテーマである。
このテーマを解読する上で大切なのが、本書で初めて紹介する「しない経営」と「エクセル経営」だ。
「しない経営」により「社員よし」「加盟店よし」「取引先よし」「会社よし」の”四方よしの経営”ができている。
「しない」とは、相手の立場で考えると、「されない」ということだ。
無用な干渉をされないことで、自分の時間を有効に使えるので、ストレスフリーで売上を上げ、自分のペースで楽しく働くことができる。
ワークマンにきてびっくりしたのが、データ活用ゼロの会社だったことだ。
店舗在庫の数量データすらなかった会社が、高度なAIソフトやデータサイエンティストを使わずに、ただのエクセルを活用することで、どのように変わったか。
ワークマンプラスの品揃えは「エクセル経営」で決まった。
2012年以来、8年間飽きずにコツコツとデータ活用研修をやり続けている。
「継続は力なり」とはよく言ったもので、社員のデータ活用力は年々高まっている。
まったく自信のなかった人、存在感のなかった人、店長に信頼されていなかった人が、いまやトップクラスの人材になり、会社を引っ張るリーダーになった。
この本の最終章には、早稲田大学大学院・ビジネススクールの入山章栄教授との対談で、いま話題の「両利きの経営(知の探索×知の深化)」はどうすれば実現するかを考察した。
本書で紹介する方法は特別なものではない。すべての企業で実施できるものばかりだ。
ビジネスに携わる方には企業変革のケーススタディとして、経営者や幹部の方には、経営変革の参考材料として活用いただければと思う。
この本は私の初めての本だ。成功談や美談を書く気は一切ない。
還暦直前に入社した私が、拙い頭でどう考え、実行したか。
それだけをありのままに書こうと思う。
ps.【だから、この本。】で5回、インタビューを受けました。こちらもぜひご覧ください。
10/26、12/7、2/1「日経新聞」で大反響! たちまち第5刷!
日本が誇る経営学の4大泰斗が絶賛!
「『ユニクロ』にも『しまむら』にもない勝ちパターンを発見した」(早大・内田和成教授)
「ワークマンの戦略は世紀の傑作。これほどしびれる戦略はない」(一橋大・楠木建教授)
「縄文×弥生のイノベーションは実に読みごたえがある」(BCGシニア アドバイザー・御立尚資氏)
「めちゃめちゃ面白い! 頑張らないワークマンは驚異の脱力系企業だ」(早大・入山章栄教授)
(目次)
☆【はじめに】4000億円の空白市場を切り拓いた秘密
☆【第1章】「しない会社」にやってきたジャングル・ファイター
☆【第2章】ワークマン式「第2のブルーオーシャン市場」のつくり方
☆【第3章】「しない経営」が最強の理由
☆【第4章】データ活用ゼロの会社が「エクセル経営」で急成長した秘密
☆【第5章】なぜ「エクセル経営」で社員がぐんぐん成長するのか
☆【第6章】興味こそがやりきる経営のエンジンである
☆【第7章】「両利きの経営」はどうすれば実現できるのか
……早稲田大学大学院・ビジネススクール 入山章栄教授との対談
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