5%を超す大量の株式を買った際に提出しなければならない「大量保有報告書」。過去3年の大量保有者別の提出件数は延べ5万件近くに及ぶ。この膨大なデータをダイヤモンド編集部が2カ月かけて分析し、国別に独自集計した。特集『安いニッポン 買われる日本』(全24回)の#3では、米国編をお届けする。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
海外と比べ圧倒的に安い日本企業
誰がどれだけ買ったかを独自集計
海外から見て、日本企業の「安さ」は明らかに際立っている――。それを示す客観的な数字がある。企業の1株当たり純資産に対し株価がどれくらい割安かを示すPBR(株価純資産倍率)だ。この数字の1倍割れは、その企業が市場から、解散価値を下回る低い評価を受けていることを意味する。
国内でPBR1倍割れの企業は1706社(3月末時点)あり、全上場企業に占める割合は42.9%だった。一方、米国の割合はわずか7.0%。世界の主要市場である英国、シンガポール、香港はそれぞれ0.7~9.7%で、海外では比較的1倍割れの割合が高い韓国でも27.4%の水準にとどまっていた。
「割安な日本企業が海外から買いまくられている」。この実相を探るため、ダイヤモンド編集部が着目したのが「大量保有報告書」のデータだ。
投資家は、株式の保有比率が5%を超えた「義務発生日」から、原則として5営業日以内に報告書を提出する。「いつ、どの海外投資家がどれくらい株式を買ったのか」。これをタイムリーかつ詳細に把握するのは大手証券でも簡単ではないが、5%超の大量保有者に限れば、高い精度で手口が観察できるのだ。
大量保有者別の提出件数で、延べ5万件近くに及ぶデータを独自集計した結果、世界最大の買越国となったのが米国だった。次ページ以降、新型コロナウイルス感染拡大の前・後に分けて、「米国の大量保有者に買われた日本企業ランキング」、具体的に誰がどれだけ買ったかを示す「米国の大量保有者ランキング」の計4本を紹介する。早速、見ていこう。