その2:入り口無料

 次の「入り口無料」は、月額課金サービスがその典型だ。初月無料、初年度無料として、入り口のハードルを下げて参加を促す。筆者は先日とある通信プランの乗り換えセールスを受けたが、先方いわく速度もセキュリティーも向上されており、しかも工事もいらないと簡単さを強調してくる。なかなか金額の話が出てこないのでこっちから聞いたところ、「まずお試しいただきたいので、ひと月分は無料ということで…」と言うのだ。

 しかし、サービスの加入時には、せっせと相手が手続きしてくれるので簡単だが、解約は自分でやらなくてはいけない。そもそも通信サービスの品質のよしあしなんて素人が判断できるのか。めんどくさいし、トラブルもないからそのまま継続でいいかとなりがちだ。支払いもカードや携帯料金との合算でとなると、勝手に引き落とされてお金の出入りが目に入らない。気づかぬうちに、毎月の固定費がアップしていた――とならないようにご用心を。

その3:条件で無料
無料を享受するためにお金を払う?

 3番目の「条件で無料」は、文字通り「○○したら無料」というパターン。「あと3000円買ったら送料無料」や、「2000円以上買い物をしたら駐車場代無料」というおなじみの手法だ。「いや、そもそも送料は3000円もかからないのでは?」と考えるべきなのだが、送料を払いたくない心理は根強い。駐車場代にしても、1時間ならいくらかかるかを調べるより、とにかく2000円以上買い物することに頭が切り替わる。とにかく無料にしたいという心理が、なぜか不要不急の買い物を促し、余計なお金を使ってしまうという摩訶不思議な行動を引き起こすのだ。

 最近では、キャッシュレス事業者のこんなキャンペーンも多い。

 「当選すると決済金額の100%が返ってくる」「抽選で買い物代金を全額キャッシュバック」。これも、無料の恩恵を受けるには、先にお金を使うことが前提なのだが、素直に参加している人は多いのではないか。SNS時代の昨今、「当たった!」という投稿を見ると、我も我もと思うのだろうか。宝くじのようなもので、確かに買わなければ当たらないのだが…。