同センター初開催のお祭りで、楽しいひと時を過ごす中山間地域の人々。だが、実生活のなかでは根の深い問題が山積みだ。高度成長期の反動とも言える様々な社会変化が、中山間地域に起こっている。さらに、そうした変化は都市周辺でも同時進行しているのだ。

中国5県は
「日本の未来像を写す鏡」

 日本の総人口は、2010年に1億2806万人でピークに達した。それから50年後、2060年に4132万人減少し、8674万人へと急減する。高齢者人口の比率は、23.0%から約1.5倍の39.9%へ上昇する(総務省「国勢調査報告」等)。

 地域別での変化は、「2005年と比較した2050年の人口増減」(右図)で見て取れる。それによると、人口が増加傾向なのは、東京都心・同城南地区、中京圏名古屋南部・東三河など、都市圏のごく一部だ。それ以外では減少する。人口減少率で見ると、全国平均で約25%。だが、過疎地域の平均的な人口密度(約51人/km2)を下回る「過疎化が進む地域」では、同約61%に跳ね上がる。

 このような状況が進行するなか、近年、全国各地で社会問題として表面化してきたのが、いわゆる「買い物難民」の急増だ。日々の生活を維持するために、食料品を買いに行くこと。そして、病院へ通うこと。そうした社会生活のための交通手段の確保が大きな課題となっている。

 具体的には、高齢者単独世代で、徒歩圏内(約20分/1km)に生鮮食料品店が存在しない世帯数は、2005年が46万世帯、2030年が約99万世帯、そして2050年には約114万世帯に増大する(総務省「国勢調査報告」等)。

 こうした社会変化の影響が、全国のなかで最も深刻なのが中国5県(島根、鳥取、山口、広島、岡山)だ。そこで、これら各県の地域振興、地域政策等の部局が1998年、「中国地方中山間地域振興協議会」を設置。今後のコミュニティのあり方、耕作放棄地への対応、そして地域再生のための産業育成など、各県が共通の課題認識を持って解決策を模索している。

 なかでも熱心なのが島根県だ。中山間地域という「具体的なイメージがつかみにくいモノ」を、前述の「研究センター」として具現化したのだ。