BTSに見る
「プロセスエコノミー」の2つの形

山口 本の中で紹介されている事例も含めて、尾原さんが、これプロセスエコノミーでうまくやっているなという事例って、何が第一想起として出てきますか?

尾原 第一想起として出てくるのはBTSですね。今、BTSを育てた韓国の芸能事務所のHYBEが、ENHYPEN(エンハイフン)という次のグループを育てていて、これが本当にヤバいんですよ。

 プロセスエコノミーには、2段階の壁があって。1段階目の壁が、「意味は、提供者が完成品を作るのに至るプロセスで作られるから、そこを積極的に開示していったほうがいい」という、付加価値をアウトプットで作るのか? プロセスで作るのか? というところです。

 2段階目の壁が、ユーザーからアウトプットでお金をいただくのか?プロセスでもお金をいただくのか?という2軸があったときに、後者のプロセス自体でお金がいただくことはまだ途上です。

「デジタルエンターテインメント」が後者にフィットするので、BTSというエンタメグループが、事例としてはわかりやすいのかなと思っています。

BTSの世界的成功は必然?これからは「プロセスエコノミー」が必須のワケ尾原和啓氏氏の近著『プロセスエコノミー』が7月28日に発売された。発行:幻冬舎

山口 そっか、あくまで完成品としてお金をもらうんだけど、僕で言うところの「意味がある」ところにプロセスが非常に寄与しているタイプのプロセスエコノミーと、プロセスそのものがお金を払う対象になっている、という2つの考え方があって、後者はまだいろいろハードルがあるということですよね。

尾原 そうですね。後者は課金の仕方ですが、さっきの話で言うと、テクノロジーは出てきましたよねと。サブスクである月額や、投げ銭のようなギフティングやYouTubeを1回見れば0.3円入ります、みたいな利用課金も出てきているけど、それが、利用者側がモノの意味だけでそこにお金を払うかというと、まだまだそうはなっていなくて。

 デジタルエンターテインメントである音楽や漫画が今はすごくベンチマークしていて、メーカー側にどう移していくかを考える段階かな?と思っています。