メンタルの問題は、根性でどうにかなる話ではない

死にたくなるほど辛い…うつ病との見分け方が難しいPMDD(月経前不快気分障害)とは発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす ​生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳
【目次】
はじめに~毎日、生きづらさを感じているあなたへ
■第1章 あなたの「生きづらさ」の原因を探してみましょう
■第2章 考え方一つで幸も不幸、不幸も幸になる!
■第3章 世の中に溶け込むための擬態のススメ「とりあえずやってみる!」
■第4章 生きるのがさらにラクになる! 心の習慣
おわりに~あなたの人生に勝ち負けというのは、一切存在しません

──PMDDになりやすい人、PMDDになる可能性が高い人の特徴などはあるのでしょうか?

バク:あ、ないですね。脳みその構造の問題ですから、こういう生き方をすればPMDDにならないとか、こういうことに気をつけたら治るとか、そういうことはないです。

──そうか、ふつうの病気と同じですもんね。なかには「生理前でメンタルが落ち込んで……」という話をしても「気合が足りない」「落ち込むな!」とあまり理解してもらえなかった、という人もいるようですが……。

バク:うーん、メンタルの問題について、根性論で話す人いますけど、それって足の長さとか手の長さを根性論で解決しようとしてるのと同じなんですよね。根性でPMDDをなんとかしろという人がいたら、私は「じゃあ根性で20cm足伸ばしてこいや」って言ってやりたいですよ。

──たしかに(笑)。

バク:伸ばせないですよね? それと同じことを言われてるわけですよ。

 それで、たとえば上司からの「そんなことで落ち込んでいたら社会人としてやっていけないぞ」とかいう言葉を真に受けて「やっぱり私が悪いんだ……」「私は根性がないからもっとがんばらなきゃ……」と、問題に直接対応しようとして、疲れ果てている人、すごく多いんです。

 私がこの本を書いたのも、そういう思い込みから解放される人が増えたらいいな、という理由からで。みんな、自分の根本的な性格や考え方をがんばって変えようとしているから苦しくなるんです。

 でも、人間の本性はそんなに簡単には変わりません。

 この生きづらい世の中ですべきなのは、「周囲に溶け込む擬態」の工夫をすることなんです。

 あらゆる障害を打ち破って「自分らしさ」を貫く必要はありません。表面上「私はこの社会でうまくやっています!」と見えるように擬態して仮面を被って、世の中に適応すればいいんです。

 私自身、ADHDという発達障害があったり、一般的な性の自認がないXジェンダーだったり、うつも経験していたりと、さまざまな生きづらさを感じていましたが、「擬態」がうまくできるようになってから、それなりに幸せに生きられるようになりました。

 この本に書いてあることを全部やってくれというつもりはないので、騙されたと思って気が向いたものから行動にうつしてもらえたらと思います。

「生きやすくなった」という人が増えることを願うばかりです。

死にたくなるほど辛い…うつ病との見分け方が難しいPMDD(月経前不快気分障害)とはバク@精神科医
元内科の精神科専門医
中高生時代イジメにあうが親や学校からの理解はなく、行く場所の確保を模索するうちにスクールカウンセラーの存在を知り、カウンセラーの道を志し文系に進学する。しかし「カウンセラーで食っていけるのはごく一部」という現実を知り、一念発起し、医師を目指し理転後、都内某私立大学医学部に入学。奨学金を得ながら、勉学とバイトにいそしみやっとのことで卒業。医師国家試験に合格。当初、内科医を専攻したが、医師研修中に父親が亡くなる喪失体験もあり、さまざまなことに対して自信を失う。医師を続けることを諦めかけるが、先輩の精神科主治医と出会うことで、精神科医として「第二の医師人生」をスタート。精神科単科病院にてさまざまな分野の精神科領域の治療に従事。アルコール依存症などの依存症患者への治療を通じて「人間の欲望」について示唆を得る。現在は、双極性障害(躁うつ病)や統合失調症、パーソナリティ障害などの患者が多い急性期精神科病棟の勤務医。「よりわかりやすく、誤解のない精神科医療」の啓発を目標に、医療従事者、患者、企業対象の講演等を行う。個人クリニック開業に向け奮闘中。うつ病を経験し、ADHDの医師としてTwitter(@DrYumekuiBaku)でも人気急上昇中。Twitterフォロワー4万人。『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす​生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』が初の著書。

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死にたくなるほど辛い…うつ病との見分け方が難しいPMDD(月経前不快気分障害)とは