精神疾患との見分け方が難しいPMDDとは?

死にたくなるほど辛い…うつ病との見分け方が難しいPMDD(月経前不快気分障害)とはPhoto: Adobe Stock

──私ごとで恐縮なのですが、じつは私も強い「生きづらさ」を感じていて。月に1回くらいのペースで死んでしまいたくなるくらい辛くなることがあったので、心療内科に通っていたんです。

バク:そうなんですか。大変ですね。

──でも、薬を飲んでもあまり改善した感じがしなくて、どうしたらいいんだろう? と悩んでいたんです。そのとき、今回の本を読んで、ずばり「私の辛さってこれだったんだ!」と当てはまるものを見つけて。

バク:えっ、どれですか?

──月経前になると日常生活に支障をきたすほど気分が落ち込んでしまうという、PMDD(月経前不快気分障害)です。

バク:なるほど、そうでしたか。私もそういった患者さんを診察したことがありますが、その方は、年に1回くらい自殺しようとする、深刻な問題を抱えていました。

 PMDDの症状には特徴があるんです。わけもなく突然大きな絶望感におそわれて、「もう何もかもダメだ」とすべてを投げ出したくなってしまう、気分の落ち込み。イライラ。

 ひどいときには「みんなに悪口を言われているんじゃないか」とか「世界中に嫌われているような気がする」などの妄想と言っても言い過ぎではないほどの精神症状がメインであることが、PMSとの大きな違いです。

──私、全部当てはまっています……。

バク:私が担当した患者さんも、なぜそうなってしまうのかわからないのに、とにかく辛い、しんどいという感じでした。話を聞こうとしても「よくわからないけどもうダメだ、辛い、死にたい」とうつむくばかり。自殺しよう、というあまりにも大きな決断をしたにもかかわらず、その原因がわからないというのです。

 それで、過去の入院記録をさかのぼって詳しく症状を調べてはじめて、とてつもない絶望感がやってくるのには周期がある、とわかったんです。気分が落ち込む時期の2週間後に、ほぼ必ず月経が起こっていました。

──PMS(月経前症候群)という名前は知っていたのですが、そのなかでもさらに重い、PMDDという病気があることは、私は知りませんでした。

バク:知らなければわからないですよね。こういう場合は、抗精神病薬ばかり飲んでも治らないことが多いんです。ホルモンのバランスが崩れて発生する病気なので、精神科よりも産婦人科に行ってピルなどを処方してもらったほうが治る可能性は高いですね。

 極端な生きづらさの原因には、何かの病気が隠れているかもしれないので、メンタルの不調を放置せず、きちんと病院に行って診察してもらったほうがいいと思います。