JAS法が改正された00年以後、菌床の輸入が少しずつ増え、11年の東日本大震災での福島第一原子力発電所の事故で国産シイタケが汚染されたことが契機となって、中国シイタケの菌床の輸入が急増しました。これは「国産シイタケと販売しても、放射能検査でセシウム等が検出されないので安心だと考えた業者が増えたからではないか」と考えられています。

 中国からの菌床の輸入量は、12年が7129トンでしたが、17年には1万5649トンと倍増しています。

 一方、中国で収穫したシイタケの輸入量は、12年が約5000トンでしたが、17年には約2000トンまで減少しています(独立行政法人 農畜産業振興機構:海外情報・野菜情報18年9月号より)。

 日本のシイタケ(原木栽培および菌床栽培)の生産量は、16年から20年までの5年間は年間約7万トンです。

 ここ数年の実績では、シイタケの国内生産量の約92%(年間で約6万4400トン)が菌床栽培です。しかし、この中には、中国で栽培した菌床を輸入し、日本で収穫したシイタケも含まれています。

 では、こうした中国栽培の「国産シイタケ」はどれぐらいあるのでしょうか。

 筆者が以前、シイタケ栽培の関係者から聞いた話によると、菌床栽培の場合、収穫されるシイタケは「菌床の重さの30%前後だ」ということでした。

 先述の通り、中国からの菌床の年間輸入量は17年に1万5649トンですから、わかりやすく約1万6000トンとすると、そこから収穫できるシイタケの量は4800トン(1万6000トン×30%)となります。

 仮に4800トンの全てが国産シイタケに含まれていたとすると、国内生産量(年間で約6万4400トン)の約7.5%に相当します。

 菌床栽培の場合、培地づくりから始まり、培地の管理や熟成から生育の管理までが、非常に手間がかかり費用もかかります。一番大変な段階を中国でするので、たとえ輸入費用が多少かかっても、十分採算が取れるのです。