このタイプの人はほとんどの場合、劣等感やコンプレックスなどの弱さも抱えています。理由は人によりさまざまですが、学歴や生い立ちに劣等感を持っていたり、ルックスにコンプレックスを抱いていたりして、自分という人間に自信を持てないのです。
だからこそ「弱い自分」「自信のない自分」をとりつくろうため、怒りという感情の力を借りて「相手より少しでも強く見せよう」「相手より少しでも優位に立とう」としているわけです。
要するに、強がったり虚勢を張ったりするのは、自信のなさの裏返しでもあります。
「弱い犬ほどよく吠える」と言いますが、すぐに怒鳴ったり、すごんだりするのには、自分の弱さや自信のなさを相手に悟られまいとして“必死に吠えまくっている”という側面もあります。おそらく、大声で吠えまくって威嚇しておかないと、自分は生き残っていけないという危機感があるのではないでしょうか。
「怒り」でマウンティングする人々
ところで、「自分のほうが相手より優位に立っていることを示そうとする行為」のことを「マウンティング」と呼んだりします。
マウンティングはもともと動物行動学で用いられてきた言葉であり、サルやゴリラなどの霊長類が他の個体の尻に乗って交尾の姿勢をとる行動のことを指します。その姿勢をとることによって、自分のほうが相手よりも序列が上だということを誇示するわけです。
この行動は、オス、メス関係なく行われ、当然ながら、オス同士、メス同士のマウンティングも見られます。
わたしたち人間の社会では、自慢をしたり偉ぶったりして自分の優位性をひけらかすのをマウンティングと呼ぶことが多いようです。
きっと、「相手より優位なポジションに立ちたい」という気持ちは、群れ社会の中で競い合って生きねばならない人間にとって、ごく自然に生まれてくる感情なのでしょう。老若男女関係なく誰にもある感情であり、多少マウンティングをしたからといって、そう恥じることもないように思います。もっと言えば、サルやゴリラと同じように、人間もマウンティングをすることが本能的に刷り込まれている生き物なのです。
そういう点で見れば、このタイプでしょっちゅう怒っているような人たちは、自分が競争を勝ち抜いていくために怒りという感情を有効活用しているとも言えるのです。
怒りはより確実に生き残るために組み込まれている本能的感情ですから、このタイプの人たちは、生き残り戦略としての「怒りの本来的機能」をうまく働かせているとも言えます。