公債等残高(対GDP)の収束値

公債等残高(対GDP)の収束値*1995年度から2019年度における平均的な名目GDP成長率と中長期試算のベースラインケースの財政赤字(対GDP)から筆者試算

 コロナ禍で財政赤字が拡大し、今後の財政やマクロ経済に及ぼす影響が気になるが、日銀の大規模な金融政策は継続、長期金利がゼロ近傍で推移しているため、財政規律に対する認識は弱まっている。

 こうした状況の下で先般、内閣府は「中長期の経済財政に関する試算」(以下「中長期試算」)を公表した。2030年度頃の名目GDP成長率が1.1%のケースで、国・地方合計の財政赤字(対GDP)は21年度で8.1%だが、29年度は1.7%、30年度には1.8%と大幅に縮小。公債等残高も21年度の211%から、30年度は202.4%に縮小する。このほか、長期金利がゼロ近傍で推移しており、当分財政規律を緩めても問題ないという意見もあるが本当だろうか。結論から言うとこれは間違いで、ドーマー命題から、金利がゼロでも財政赤字は1%程度まで縮小する努力が求められる。