以下の図は、日本のサラリーマンの典型的なキャリア・プランニングとして考えておくといいと筆者が思う、年齢別の目標とアクションを描き込んだものだ。

年齢とキャリア・プランニング
出所:筆者作成 拡大画像表示

 新しい分野でセカンドキャリアを得るためには、新しい仕事の「能力」と、その仕事を買ってくれる「顧客」の二つが必要であって、そのいずれの獲得にもそれなりに時間と努力を要する。

 例えば大学の教師をやりたいと思えば、博士号を取るために社会人として大学院で勉強する期間が必要かもしれないし、博士号を取ったからといってすぐに教授のポストに就けるわけでもない。非常勤講師でも勤めながら、大学と人的なつながりを作り、ポストの空き待ちをしなければならない場合もあろう。税理士でも、コンサルタントでも、料理店のオーナーでも、それなりの準備期間が必要なはずだ。

 また、これまでの延長線上にある仕事をする場合でも、ある程度の「学び直し」が必要になる場合が少なくない。職業にもよるが、古い知識やスキルのままでは、充実したセカンドキャリアを得ることは難しい。

友人として
新浪氏に伝えたいこと

 なお、報道されている新浪氏の言葉を見ると、彼は、「45歳から準備をせよ」と言っているのではなくて、「ビジネスパーソンたる者は、45歳から新たなスタートを切れるように、20代、30代の頃から勉強して備えておけ」と言っている。

 彼が三菱商事を辞めて、ローソンの社長に就いたのは44歳の時だったから、「45歳前後からなら、新天地で頑張れる(はずだ)」といった実感を自分の人生から得た可能性はある。さらに一歩進めて、45歳くらいをめどに「次の人生」への歩を促すくらいが、実は親切なのだと考えたかもしれない。