23年卒の就活はどうなるのか?
親にとっての「心構え」とは

 では、23年卒はどうなるのか。現時点では、22年卒に引き続き新卒採用への意欲には底堅さが見られます。

 今年5月に行った企業調査によると、84.5%の企業が「23年卒採用を実施する」と回答。そして、72.0%の企業が「採用予定人数は22年卒並み」と回答しています。採用人数を増やす予定の企業も4.8%あり、減らす予定の2.2%を2.6ポイント上回っています。

 5月時点の調査なので多少の変動はあるかもしれませんが、大きく増えない一方で減る懸念も低く、22年卒と同じような環境が続くと考えられます。したがって、大手だけでなく中小にも目を向ければ、求人数は豊富といえます。

 そしてWebでの説明会、面接はさらに拡大すると見られます。Webによる個別説明会、面接ともに「前年と同程度」もしくは「増える見込み」とする企業が多く、学生側にもオンラインへの対応がより必要とされることになります。

 保護者世代からすれば、自分たちの就活とはあまりに異なっていて面食らうばかりかもしれませんが、ぜひ今の就活環境を理解し、子どもをサポートしてあげてほしいと思っています。

 そして、コロナ禍の環境下で保護者の影響が強まっているという調査結果も出てきました。22年卒の学生に、「卒業後の進路を考えるうえで影響を受けた人」を質問したところ、「親」と答えた人が46.9%と最も多い結果になりました。21年卒よりも4.2ポイント増加しており、就活における保護者の存在感が増していることがわかります。

 学生にとって今の環境では、外に出ていろいろな人と会うのは難しいもの。多くの社会人に会い、さまざまな仕事観、キャリア観に直接触れる機会は減っています。また保護者の在宅勤務などもあり、家族と一緒にいる時間が過去と比べて増加していることが想定されます。そんな中で、一番身近にいる社会人の先輩が保護者であり、保護者からの話を否応なしに耳にしている学生が多いのではないでしょうか。

 ぜひこの機会に子どもと会話する機会を増やし、自分自身にとっての「仕事」や「キャリア」を彼・彼女らは今どう捉えているのか、話し合ってみてほしいですね。「社会人の一先輩」としての意見は、かなり参考になるはずです。

(株式会社リクルート 就職みらい研究所 所長 増本 全)