これが高値売却の実績だ

 不動産には相場はあるものの、価格のブレ幅は小さくない。今回紹介する方法(「高値売却」と呼んでいる)でやった実績は下図のようになる。自宅査定額が相場で、そこから6.7%(458万円)高い価格で売れている。中には10%を超えるものもある。これを実現するには、業界を知り尽くして賢い売却戦略を立てないとならない。

 まず、売り出しと成約にまつわる「基本的な2つの数字」を理解すると、売却時のストレスを低くすることができる。

 第一に、「販売期間」だ。売り出してから成約するまでの期間は3カ月以内が75%を超える。つまり、3カ月で契約できないならば、売れないリスクがかなり高いことを意味している。

 第二に、売り出しと成約の経過月数ごとの「売り出し価格と成約価格の乖離幅」についてである。最初の月が満額に近い成約価格だったものが、その後は急速に下がっていき、半年後には90%を割り込む。つまり、あまり高値で売り出すと売れ残るリスクが高いことになる。

 この2つの数字から、売却時の基本戦略が決まってくる。一般的に、3カ月以内に成約させようとするものなので、高過ぎる価格設定は禁物であり、成約想定の査定価格に対して5~8%程度高めで売り出し価格を設定するのがよい。

 そこで売り出し当初の買い意欲のある顧客を大事にして、満額に近い価格で決めにいくのだ。不動産の売却に不慣れな人は「もっといい買い手が現れるのではないか」という夢をどうしても抱きがちだが、後から考えると「あの時、あの人に売っておけばよかった」ということになりがちなのが実態である。

 不動産の世界では、素人考えほど怖いものはない。売却の際に失敗する人は多い。最初のボタンの掛け違いは取り返しのつかないことになる。よくある失敗パターンを3つ紹介しよう。