「炎上リスク」を考える
ひろゆき氏:炎上発言って、ほとんどが「切り抜き」によって前後の文脈が失われることが原因です。「たとえ話ですが……」とか「あえて悪い言い方をすると……」とか、前置きがあったり、その後にすぐに訂正して「冗談ですけどね」と言っているのに、その前の部分だけが切り取られます。
それを回避するためには、日頃から「私は間違ったことを言います」と正直に認めることしかないですよね。専門家であれば専門家同士で議論をすればいいのですが、そうじゃない場合は予防線を張っておくしかないかもしれません。
――2020年から2021年にかけては、インフルエンサーの人たちが相次いで炎上しましたよね。どう見ていましたか?
ひろゆき氏:発言そのもので「これはマズい」と思ったものは1つもないですね。内容をちゃんと聞いて、前後の文脈を見れば、ダメなケースはほとんどないですよ。そもそも発言だけで第三者が不利益を被ることなんてそうそうないですし。
どうもみんなは「内容」ではなく「人」で叩いているだけのようです。お金を稼いで贅沢してそうだったり、顔つきが怖かったり、普段からイケ好かないと思っていたり。そういう感情の発露として、言葉を切り取って揚げ足を取っているだけに見えます。
僕の場合、まったく贅沢してないですし、テキトーな服しか着てないですし、フランスで少し不自由な暮らしを楽しんでいるだけですから、庶民的に見られていると思います。だって、本当に庶民の暮らしをしていますから(笑)。そういう人を本気では怒らないですよね。
――キャラクターによるんでしょうね。
ひろゆき氏:マツコ・デラックスさんや有吉弘行さん、あるいはビートたけしさんが、ちょっと毒舌を言ったとしても、全員が許しますよね。でも、同じ発言を若手アイドルが言ったらファンが怒り出して炎上すると思います。
結局、誰が言うかが問題なんです。インフルエンサーとしてオンラインサロンでお金儲けしていたり、政治家や起業家などで地位が高かったり……、そういう人の発言は常に監視されているようなものですから。
それを日夜狙っているのが、ワイドショーや文春砲なんでしょうね。一般の人たちも、攻撃する対象を見つけるとSNSによってわーっと話題にします。その構図は、「2ちゃんねる」のときから変わらないですね。そういう本能を私たち人間は持ち合わせているんです。立場のある人を自分たちのところまで引きずり降ろしたい本能が。
――人気があるけど叩かれない人になるには、他にどうすればいいんですかね。好感度を高めるのとは違うポイントがあると思うんですが……。
ひろゆき氏:それについては、次回お話ししましょうかね。少しだけ触れておくと、炎上するのはみんな決まって「オフレコ発言」なんですよね。つまり、大衆が見ていないと思っているときにポロっと口にしたことが炎上につながっています。そこが重要なので、ちょっと考えてみてください。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、34万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。