「ファンサービスは、やりません」

ひろゆき氏:で、僕はファンサービスを一切やらないですから(笑)。だから、いわゆる意識高い系のオンラインサロンは絶対にやりません。ファンを作って、彼らを継続的に喜ばせようとすると、必ずエスカレートしますからね。発言を過激にしたり、ヘタに敵を作ったりして。

――テレビのタレントでも、意図的にギャグや決め台詞を封印する人ほど、長く活躍する傾向にありますよね。

ひろゆき氏:それも、サービス精神を出さないのがポイントですよね。知り合いの武井壮さんも、はじめはスポーツコントみたいなところでブレイクしましたけど、今はそういうのはやらないようにしているみたいですね。

 一発芸で売れた人は、それをやり続ける限り、絶対に飽きられますからね。賢い人は、早々にギャグを捨てていますよね。どこかで危機意識が芽生えるんでしょう。

 そして、その勘が鈍い人は、「自分は実力で売れたんだ」と思い込んで、そのまま突っ走ってしまいますよね。そうして消えていった人がたくさんいるでしょう……。

――もし、今のひろゆきさんの立場になれたとしたら、そのままタレント業に転身したり、ファンコミュニティを作ったりするでしょうね、普通の人だったら。

ひろゆき氏:そうでしょうね。勘違いしてそういうことをはじめるんでしょうね。でも、僕はただ「切り抜き動画」をハックしてうまくいっているように見えているだけだと思っているので、そういう道には進む気はないんですよね。

1%の努力』という本は、今、ものすごく売れてますけど、これもぜんぜん僕の手柄でもなんでもないですから。本は編集の人で売上が決まる、って僕ずっと言ってますよね?

――そうですね。出会った頃からずっと言っていますね。

ひろゆき氏:本が売れて勘違いして沈んでいく著者の人もたくさんいますからね。最初はそんなにこだわりがなかったはずなのに、ベストセラーになった瞬間に、偉そうになったり横柄な態度を取るような人って、いますよね?

 そういう人が、調子に乗って足を踏み外すのが、失言とか炎上なんだと思いますよ。つまり、大衆からの反逆です。権威や立場を得た人は、必ず革命を受ける番に回るんですよね。

 上に立つ人は、あとは引きずり下ろされるだけですから。でも、僕の場合、別に大企業の経営者でもなければ、政治家でもなくて、ただフランスでダラダラとゲームしたり映画を見ているだけですから。引きずり落ちようがないという(笑)。

【ひろゆきブーム徹底解剖】ひろゆきが絶対に炎上しないカラクリ

――なんでしょう。ひろゆきさんのことを真面目に批判したり、叩いたりすると、その人がバカらしく見える感じが……。

ひろゆき氏:はい(笑)。「え、僕の言うこと、そんな真剣に受け止めているの? 大丈夫?」って、僕が心配したくなりますね。

「ひろゆきを信じてダマされた。ひろゆきはバカだ!」という前に、「そもそも、ひろゆきを信じてるほうがバカなんじゃないか?」という……。だから、「まともな情報を知りたいのなら、専門家の意見を聞くべきですし、ちゃんとした研究や論文にあたってみて判断するようにしましょう」ってずっと言っています。

 僕がいま、「僕を信じてください!」「絶対に間違っていません!」「だから、ひろゆきコミュニティに入会してください!」とかを言い出したら、たぶん炎上すると思います。でも、そういうファンサービスが絡まない限り、僕にとって批判は何の影響もないんですよね。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、34万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。