『ブランドで競争する技術』の入門編の復活短期連載。数回にわたって、変化の激しい日本で、ブランドを使いながら、どうお金儲けをしていくかをお話します。

お金持ちとは「年収の多い人」か、
それとも「貯蓄の多い人」か

「年収300万円の生き方」「節約術」などをテーマにした本が、ここ数年売れ続けているようです。たしかに世の中を見まわしても不景気な話ばかり。私たちの年収はこれ以上、上がりそうもありません。私たちの将来は悲観的なのでしょうか。しかし、周りを眺めてみると、この不景気な時代でも、羽振りのよさそうな人たちはいるようです。

 話を聞いてみると、彼らは「年収」ではなく、「貯蓄」が多いということに気づきます。そこで、みなさんに質問です。「お金持ち」というのは、「年収の多い人」でしょうか、「貯蓄の多い人」でしょうか?

 もちろん、「年収」が多くて、その結果「貯蓄」も多いのであればいうことなしです。しかし仮に、年収がこれ以上は上がらないとすると、貯蓄を増やす方法を考えなければなりません。というのは、実は年収の向上と貯蓄の向上は、必ずしも相関するわけではないからです。わかりやすくいうと、年収が多くても貯蓄が少ない人はたくさんいますし、年収が少なくても貯蓄が多い人もいるということです。両者は、根本的に考え方が異なるのです。

 年収のように「入ってくるもの」が増えることを「フローが増える」と呼び、「貯めているもの」が増えることを「ストックが増える」といいます。この考え方はビジネスにおいて、特に「顧客」という概念に当てはめて考えると、いろいろな問題解決のヒントになります。