スシローGHDの収益性が
競合2社より高いワケ

 今回取り上げた3社の利益構造を比較するために、比率ベースで作成したP/Lの比例縮尺図を見てみよう。

 このように比較してみると、3社のコスト構造の違いがよく分かる。

 まず、原価率が最も高いのはスシローGHDで、約47%だ。一般に、鮮魚を使用する回転寿司では売上原価が高くなる傾向にあるが、その中でもスシローGHDは原材料費にお金をかけていると言える。

 一方、サイドメニューに力を入れていることで知られるくら寿司では、原価率は約45%となっている。一般に、サイドメニューは寿司に比べると原価が低くなる。くら寿司がサイドメニューに注力している理由は、そのあたりにもありそうだ。

 また、牛丼やファミリーレストランなどを傘下に抱えるゼンショーHDは、これらの3社の中では最も原価率が低く、約42%となっている。通常、外食産業における原価率は30%前後といわれており、回転寿司以外の業態の比率が大きくなると、原価率は下がると推測される。なお、ゼンショーHD全体の売上高が約6300億円であるのに対し、はま寿司の売上高は約1290億円(全体の約20%)となっている。

 続いて販管費率を比較してみると、くら寿司が約55%、スシローGHDが約46%、ゼンショーHDが約54%となっており、スシローGHDの販管費率が群を抜いて低いことが分かる。結果として、スシローGHDの売上高営業利益率は約6%と、これらの3社の中ではトップだ。

 この理由を解き明かす鍵の一つは、1店舗あたりの売上高にある。この点について、回転寿司のコスト構造の観点から説明しよう。

 売上原価は、寿司の原材料費に相当する。この売上原価は、ほぼ売上高に比例する、いわゆる変動費的な性格を持つ費用だ。販管費は、店舗等にかかる人件費や地代家賃で、これらは売上高には関係なく計上される、固定費としての性格が強い費用である。

 店舗あたりの採算性を考える際には、売上から変動費を引いた限界利益(今回のケースでいえば売上総利益)が、どれだけ固定費(人件費、地代家賃)を上回れるかがポイントとなる。1店舗あたりの固定費が大きく変わらなければ、1店舗あたりの売上高が大きいほうが、1店舗あたりの限界利益が大きくなり、収益性が高くなるわけだ。

 実際、各社の1店舗あたり売上高は、くら寿司が約2.6億円、ゼンショーHD(はま寿司)が約2.5億円であるのに対し、スシローGHDでは約3.3億円と飛び抜けて高くなっている。これが、スシローGHDの販管費率が低い理由なのだ。

 もちろん、1店舗当たり売上高が高い背景には、寿司自体の質を支える仕入れや店内調理、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を活用することによる顧客満足度の向上、売上の拡大、そして廃棄ロスの低減といった取り組みがあることは間違いない。コロナ禍においては、「自動土産ロッカー」などにより、非接触での持ち帰りを実現する仕組みも功を奏したと推測される。

 以上のような取り組みを続けることで、スシローGHDは原価率が高いにもかかわらず、高い収益性を実現できているのだ。