放置厳禁の「危険な症状」とは?

 膀胱がんの最も一般的な症状は「血尿」です。目で見てわかるような赤いおしっこが出ることがあります。

 普通の色に戻ったり、また茶色がかっているだけだったりすると「大丈夫だろう」と油断して放置してしまいがち。

「色に違和感を覚えたら要注意」と肝に銘じてください。こういった症状が出現したときは膀胱がんの専門である「泌尿器科」を受診しましょう。

 日本の健康診断の項目に含まれている「尿潜血」が陽性になったときはどう考えたらいいのでしょうか。

 先述したように膀胱がんに有効な検診はなく、尿潜血も例外ではありません。ただし少なくとも、40歳を越えて尿潜血の陽性が出現したら、まず存在の有無を考えなければいけないのが「膀胱がん」であるのも事実です。

 尿潜血が+2以上出ており、かつ40歳以上であれば、再検査を必ず受けましょう。

喫煙でがんリスクが上がる

 そして膀胱がんのリスクを最も上げる行為が喫煙です。松田優作さんもヘビースモーカーとして非常に有名でした。

 日本人のデータを対象にした分析でも、喫煙によって膀胱がんのリスクが約2倍上がるとされています(※2)

「喫煙者の尿潜血陽性」はより危機感を持って、早めの受診を強くオススメします。

(本原稿は、森勇磨著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を編集・抜粋したものです)

【出典】
※1 Virginia A Moyer 1, U.S.Preventive Services Task Force. Screening for bladder cancer: U.S. Preventive Services Task Force recommendation statement. Ann Intern Med. 2011 Aug 16;155(4):246 51.

※2 Hiroyuki Masaoka,et al. Cigarette smoking and bladder cancer risk: an evaluation based on a systematic review of epidemiologic evidence in the Japanese population.Jpn J Clin Oncol. 2016 Mar;46(3):273 83.