「内向型」だからこそ、深い人間関係が築けることも

榎本博明『何でもないことで心が疲れる人のための本 「隠れ内向」とつきあう心理学』日本経済新聞出版榎本博明『何でもないことで心が疲れる人のための本 「隠れ内向」とつきあう心理学』(日本経済新聞出版)
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 また、内向型の人の特徴として、「周囲に溶け込むのに時間がかかる」という傾向がありますが、これも必ずしも悪いことだけではありません。

 社会への適応が良くないということはその分、「世間に惑わされない自分を持っている」ということでもあります。それが、常識にとらわれない独自の発想につながっていきます。

 実際に、企画力や発想力で突出している人の特徴を振り返ると、他人とのつきあいをつねに第一優先するタイプではなく、自分ひとりの時間を大切にしているタイプの人が多い、というのは納得する方も多いのではないでしょうか。

 人間関係の面でも、内向型は広いつきあいを苦手とするからこそ、深いつきあいができるという強みがあります。何か悩みを持っていて、誰かに相談したいという時には、「根っから社交的で、知人友人が多いタイプの人」よりも「慎重そうで、口が堅そうで、本人も悩みがありそうな人」のほうが打ち明けやすかったりします。

 このように、特定の人との深いかかわりについては、内向型のほうが有利になることもあります。本人は「話すのが苦手」「対人関係が苦手」と思っている人も多いでしょうが、「話し上手」「社交的」でないからこそ、かえって他人にとっては居心地のいい存在であるということもあり得るのです。そのため営業など人とかかわる仕事に、意外に適性があることもあります。

 こうして見てくると「内向型」が必ずしも悪いものではないことがわかるのではないでしょうか。