毎日、何気なく、お風呂に入っていませんか? そうだとしたらもったいない!「疲れ」や「痛み」に最も効く究極の入浴法を解説した「医者が教える小林式お風呂健康法」の著者であり、自律神経や腸の研究の第一人者である小林弘幸先生(順天堂大学医学部教授)が、本書の中から、知られざるお風呂の力や、ちょっと変えるだけで、ぐっと効果が高まる入り方のコツなどを紹介します。

自律神経の名医が教える、突然ひらめきが舞い降りる身近な場所とは?Photo: Adobe Stock

お風呂はもっとも身近なパワースポット

 お風呂に入ると、ふっとアイディアがひらめくことがありませんか? 実は、お風呂は、「ひらめきの4B」と言われている、アイディアがひらめきやすい場所のうちの一つです。

「4B」とは、「Bar」「Bus」「Bed」「Bathroom」。

 共通するのは、適度なリラックス効果があることですが、特にお風呂はひらめきやすいと感じる方が多いのではないでしょうか。古代ギリシャの物理学者・アルキメデスも、「アルキメデスの原理」を入浴中に思いついたという話は、有名です。

 何かに集中して、考えが煮詰まっているときというのは、どうしても呼吸が浅くなりがちです。そうすると、交感神経が高まり、自律神経のバランスが崩れてしまため、脳のパフォーマンスが下がってしまいます。そんなとき、湯船につかって副交感神経のスイッチがオンになると、自律神経のバランスが整い、脳が冴え、ぱっとアイディアがひらめいたり、考えがまとまったりします。

 また、お風呂に入るとリラックスできるだけではなく、髪の毛を切ったときのようなちょっとしたリセット感もありますよね。場面がガラッと変わりますし、お湯の熱や水圧によって体の状態も変わるので、それまでとはまったく違う状況にトリップできます。だから髪を切るという特別なイベントに匹敵するほど、気持ちをリセットできるのではないでしょうか。

 そう考えると、お風呂は、とても身近なパワースポットのようなものかもしれません。上手に活用することで、脳や心、体が整い、健やかに生きられる。そして人生をより高いところへ引き上げてくれる。そんな力がお風呂にはあります。

 たかがお風呂、されどお風呂。お風呂と上手に付き合えるかどうかは、私たちが思っている以上に、人生に影響を与えることでしょう。

監修/小林弘幸(こばやし・ひろゆき)

順天堂大学医学部教授
日本スポーツ協会公認スポーツドクター。スポーツ庁参与。1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部卒業、同大学院医学研究科を修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務後、順天堂大学小児外科講師・助教授を経て現職。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンスの向上の指導などに携わる。また、順天堂大学病院に日本初の便秘外来を開設した“腸のスペシャリスト”としても知られる。日常生活を少し変えるだけで、大きく健康効果が出る方法を、メディアを通じて発信し続け、『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム刊)『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』(幻冬舎刊)など、ベストセラー著書も多数。