毎日、何気なく、お風呂に入っていませんか? そうだとしたらもったいない! 「入り方次第でお風呂タイムは治療になる」と言うのは、自律神経や腸の研究の第一人者で「医者が教える長生きみそ汁」の著書もある小林弘幸先生(順天堂大学医学部教授)。
寝ても取れない日々の疲れや、肩こり・腰痛などの慢性的な痛みに、一生悩まされない体を作る、究極のお風呂の入り方を提案した新刊「医者が教える 小林式 お風呂健康法」から、入浴で自律神経と腸の働きを最大限に働きかけるにはどうすればいいのかの、エッセンスを紹介します。
自律神経のバランスを整える最強の浴室環境とは?
お風呂は究極のプライベート空間なので、自分自身が心地よい環境にしたいですよね。
お風呂の環境を整えることは、自律神経のバランスを整えるうえでも非常によいことです。
自律神経のバランスを整えるお風呂の環境のポイントは、「ここにいると気持ちがいい」と思えるようにすること。自分好みのバスグッズを使ったり、次のようなことを意識するとよいでしょう。
(1)清潔にする
当然ながら、浴室がぬるぬるしていると気持ちが悪いですし、髪の毛が落ちているのも、いやな気持ちになりますよね。ですから、基本的ではありますが、お風呂を清潔に保つことは大切です。実は、掃除や片づけという、空間を美しく整える作業にも自律神経のバランスを整える効果があります。
「今日は床のタイルを」「今日は鏡を」という具合に、あらかじめテーマを決めてから取り組むと、やりすぎることがなく、気持ちが安定します。テーマを決めずに取り組むと、気分がのってきて、あっちもこっちもとなりがちです。すると、一種の興奮状態に陥って交感神経が刺激されてしまうので、長くても30分を目安にするとよいでしょう。
(2)よい香りをかぐ
心地よい香りをかぐと、末梢の血流がよくなり副交感神経が上がります。これは、実験でも証明されていることです。たとえば、イライラした気持ちを鎮めたい場合は、ラベンダーやローズ、ヒノキなどがおすすめです。落ち込んだ気持ちを回復させたい場合は、グレープフルーツやゆずなど。心配事がある場合は、イラン・イランやサンダルウッドなどの香りをかぐと心が穏やかになります。入浴剤やアロマで楽しむといいですね。
(3)音楽を聴く
ジャンルで言うと、自律神経のバランスを最も整えるのは、ロックです。意外かもしれませんが、ロックのビート=規則的なリズムには自律神経のバランスを整える効果があります。私も、あまりにも疲れたときはソファに寝転がって、レディー・ガガを聴いています。そうすると、不思議なくらい疲れが取れていきます。
とはいえ、一番大切なのは、そのときに自分が聴きたい音楽を聴くことです。気分がひどく落ち込んでいるときに、無理して激しいロックを聴く必要はありません。そのときに一番聴きたい曲を聴くことが、自律神経のバランスを整える秘訣です。
(4)照明を工夫する
白い蛍光灯の光は、交感神経を刺激します。電球色といわれるオレンジの照明に変えたり、照明を消してキャンドルを灯したりするとよいでしょう。LEDキャンドルを瓶の中に入れて使えば火傷の心配もありません。炎の揺らぎを見ていると、副交感神経もアップしますよ。