中学2年から株ひと筋で、株式投資歴30年以上のベテラン専業投資家、かぶ1000が『賢明なる個人投資家への道』を著した。中学時代から体育のジャージ姿で地元の証券会社に通い詰め、中高年の投資家にかわいがられ、バブル紳士にお金儲けのイロハを教えてもらった。中学3年生で300万円、高校1年で1000万円、高校2年生で1500万円へと株式資産を増やす。会計系の専門学校卒業後、証券会社の就職の誘いを断って専業投資家の道へ。2011年に“億り人”になると、2015年に3億円、2019年に4億円を突破。アルバイト経験さえない根っからの個人投資家が、学校では絶対に教えてくれないお金の知識と増やし方を徹底指南する。

就職したことがないのに株式投資で4.5億円!お金を増やすため知っておかなければいけないことPhoto: Adobe Stock

お金の価値は70年間で
8分の1に下がっている

『賢明なる個人投資家への道』を手にした人の多くは、「将来のために株式投資でお金を増やしたい」とか「給料以外にお金を稼ぐ方法が知りたい」と思っているのではないでしょうか?

要するにお金に興味を持っているわけですが、「お金の本質」が一体どういうものなのかを理解している人は、少ないのではないかと思います。

投資してお金を増やしたいと思うのなら、まずはお金の本質をしっかりと知っておいたほうがいいと思います。

「お金の本質の話なんか、どうでもいい。お金を増やす方法を早く教えて!」という声が聞こえてきそうですが、大事なことなのできちんと踏まえておきましょう。

なぜならお金の本質を知ることこそ、お金を増やす仕組みや性質を活かしていく大前提になるからです。

そこで、もったいぶらずにズバリ、結論をいいましょう。

お金の本質とは、時間とともにその価値がだんだん下がっていく点にあります。

このことを知ってもらうために、ちょっとしたクイズを出しましょう。

明治13年(1880年)の1万円は、約140年後の令和元年(2019年)の貨幣価値に換算すると、一体どれぐらいになるのでしょうか?

明治13年といえば、1万円札にも描かれている福澤諭吉が、東京・銀座に日本初の実業家社交クラブ「交詢社」を創った年です。のちの東京銀行(現・三菱UFJ銀行)の前身である「横浜正金銀行」が創業したのも同じ年。アメリカでは、発明王トーマス・エジソンが、白熱電球の特許を取得しています。

さて、クイズの答えはというと、なんと「5342万1775円」にもなります。

実に5342倍!

つまり、明治13年の1万円は、令和元年では5342万1775円に相当するのです。

いい換えれば、この約140年間で1万円の価値は、なんと5342分の1になったということです。

この計算は、CPI(消費者物価指数)をもとに貨幣価値(物価)を算出したものですが、ネット上の「日本円消費者物価計算機」で簡単に計算できます。

明治時代との比較だと、さすがに昔すぎてピンとこないかもしれません。

そこで、昭和と令和で比べてみましょう。

昭和24年(1949年)の1万円は、70年後の令和元年(2019年)の貨幣価値で換算すると一体どれぐらいになるのでしょうか?

昭和24年は、終戦から4年。

湯川秀樹博士が、日本人初となるノーベル賞(ノーベル物理学賞)を受賞した年です。

翌年には、朝鮮戦争が起こり、その特需は昭和30年に始まる高度経済成長のきっかけとなりました。

さて、答えはというと、7万7710円(7.77倍)です。

この70年間で、日本円の価値は約8分の1になっているのです。

会社員の給料も、アルバイトのバイト代も、現金でふり込まれています。

最近では、電子マネーやクレジットカード払いが増えていますが、いずれも銀行口座などの現金残高から引き落とされる仕組みになっています。

日常生活を送るうえでの支払い手段である最低限の現金残高は別として、それを超えるお金(余剰資金)を現金のままで持っていると、その価値は下がり続けることになりますから、結果的には損をしてしまいます。

余ったお金を現金のまま持っていないで、どのように保有するのが正解なのか。

その方法を考えていくのが資産運用の原点であり、その1つとして最適なのが株式投資なのです。

では、なぜ株式投資なのか?

これについてはのちほどさらに詳しく述べるので、引き続きお金の本質について見ていくことにしましょう。