清藤さんは、片っ端からいろいろなLINE公式アカウントに登録し、刺さるクリエイティブを研究しているという。

「大手企業、特にサントリーさんはメッセージが上手で、すごいなと思います。動画での訴求ももちろん参考にしています」

 店頭でのコミュニケーションも戦略的だ。

「だいたい月一で新メニューを出すのですが、それを待ち望んでいるお客さまがたくさんいらっしゃるんです。でもギリギリまで秘密にしています。店で『来月は何が出るんですか?』と聞かれても『LINE公式アカウントの通知を楽しみにしていてくださいね』って」

広告やマーケティングの経験はゼロ

 清藤さんに広告やマーケティングの経験はない。ほぼ手探りでここまでやってきた。一般的な開封率やクリック率と比較して、廚 菓子 くろぎの数字がいかにすごいか伝えると、「相場が分からなかったのでめちゃくちゃうれしい」と笑う。

「デジタルって少し苦手とか敬遠してしまうところがあるじゃないですか。でも、自分ができる範囲のことをちゃんと実践すれば、十分成果はついてきます。LINEの管理画面も親切で、分からないときは横の『?』マークをクリックすると、初心者でも理解できる言葉で説明されています。Q&Aも整備されていて、人に聞かなくてもできました」

 LINEでは、LINE公式アカウントを使う事業者向けに有料のサポートパックを用意している。だが、清藤さんも、前回記事のムゲン食堂・谷村さんも利用したことはなく、この取材まで存在すら知らなかったようだ。

 ただ、「クリエイティブのサポートは欲しい」と清藤さんは言う。セミナーという形でもいいので、どのようなクリエイティブだと効果が上がるのか教えてほしいそうだ。それはむしろ、清藤さんが講師にうってつけなのではないかと筆者は思った。