既存の軸のみに頼るのは危険

 仮に多様性を高めることがその組織にとって必要な打ち手だとしても、そのために外国人を採用すれば問題は解決するのでしょうか。

 質問者の会社では、多様性を高めるために外国人を採用したとのことですが、これは国籍が異なればものの見方や考え方が異なるという前提に立っています。

 ですが、日本で教育を受けて長い時間を過ごしたアメリカ人は、見た目はアメリカ人でも中身は日本人に近いかもしれません。「うちの外国人は日本人以上に日本人だ」という表現も耳に新しくはないでしょう。

 それよりも、日本の不便な離島で暮らした経験を持つ日本人を採用した方が、目新しい発想で多様性を高めることにつながるかも知れません。

 国籍や性別、年齢といった違いは軸として分かりやすく、個性を形成する一要素であることに違いはありませんが、それらにのみ頼りすぎるのはいささか短絡的です。

 同じ国籍、同じ年齢、同じ性別であったとしても全く異なる考えを持っている可能性は多々ありますし、逆に違った国籍、異なる世代・性別であっても考え方が似ているケースもいくらでもあります。