空売りするなら、T社

 実は、S社とT社は、同じ会社の異なる期間です。以下が実際の週足チャートです。

S社とT社のチャートS社とT社の週足チャート

 多くの個人投資家は、逆バリ派。株価が上昇している株を売り、下落している株を買いたがります。

 証券会社のウェブサイトでは信用残高(信用取引の未決済残高)をチェックすることができます。S社のような株で「空売り残高」が増加し、T社のような株で「信用買い残高」が増加する傾向にあります。

 信用取引でトレンドに逆らうのは危険です。勢いよく上昇しているS社を空売りするとそのまま上に持っていかれ、上値で損失確定の買い戻しを迫られることが多い。T社のように、下げが加速したところで空売りしたほうが勝ちやすい。

 孫子の兵法に、「味方の兵力が敵の10倍なら包囲し、5倍なら攻撃、2倍なら敵を分断して戦い、互角なら戦うが、少なければ退却し、逃げる」とあります。株のトレーディングの極意につながる言葉です。

 つまり、勢いよく立ち向かってくる(上昇してくる)株を空売りするのは禁物、どんどん逃げていく(下がっていく)株に追い打ちをかける(空売りする)のが良策ということです。

(本稿は、『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』から抜粋・編集したものです。)