5:単純に家から近い

 遠くの病院に通うことは、病気やけがの犬・猫にとって大きな負担になる。また愛犬・愛猫の健康を維持する上では、何よりも日々の管理が重要。

 上の4つの条件を満たす獣医師を見つけても、家から遠いという理由で毎日飲ませる必要のある薬をもらいそびれてしまったり、定期的な健康チェックを受けるのがおっくうになったりするようでは本末転倒だ

「何だかすごそう」な
動物病院の裏側にあるもの

 また、飼い主として知っておきたい、動物病院の「裏事情」もある。動物病院業界には今、大手企業が続々参入していることだ。

 典型例は、世界的な菓子メーカーである米マースの傘下企業、米VCA。18年に日本市場に参入し、既存の動物病院を次々と買収してグループ規模を急拡大しているところだ。

 この他にもペット保険大手のアニコム ホールディングスや、流通大手イオンのペット事業子会社であるイオンペットなども、買収や新規開院などで動物病院事業を急拡大している。

 企業が経営する動物病院は総じて投資力に長け、高額な医療機器を多数備えていたり、PRが洗練されていたりする。こういった病院を見て、「何だかすごそう」「治してもらえそう」と飼い主が感じることもあるだろう。

 ただ、投資の規模と医療の質は必ずしも比例するわけではない。投資を回収するために、必要性の低い検査を多数行う可能性も否定できない。

 一方で個人獣医師による古くからの動物病院の中には、規模は小さくても、長年積み上げてきた診察経験から的確な診断ができるところも少なくない。印象に踊らされることなく、納得できるかかりつけ医を選びたい。

 また、進行したがんなど重篤な傷病については、専門の診療科を設置した高度医療の動物病院を利用することも大事だ。週刊ダイヤモンドの保存版『犬&猫 「うちの子」の大問題』では、現役獣医師が選んだ信頼できる動物病院の全国ランキングを掲載している。犬・猫の飼い主にはぜひ一読していただきたい。